ビジュアル以外は町中華の王道チャーラー
では、ラーメンからいただきます!
スープが濃いように思えるのは、黒い丼だからだろう。実際に飲んでみると、鶏ガラのコクのあとに角がとれたまろやかな醤油の風味がふわっと広がる。これぞ町中華ならではの清湯スープである。
麺はやや縮れのある中太麺。これも町中華ではお馴染み。この丼ゆえに麺は1玉よりも少ない気がしたが、半玉ほどは少なくない。チャーシューはしっかりと煮込んであり、味も濃い目。うん、私好みである。ほかの具材はメンマとモヤシ、ネギと、シンプル。
驚いたのはチャーハン。まず、その量とビジュアルだ。しっかりと1人前あり、真ん中にグリーンピースがのり、端には紅ショウガが添えられている。黒い丼に映えまくっているのだ。
レンゲを入れてパクリとひと口。うおーっ! 旨いっ! 見た目からパラパラ系かと思いきや、食感はしっとり。いや、その中間くらいか。とにかく絶妙なのだ。サービスメニューのチャーハンなのに、チャーシューもゴロゴロと入っていて、ご飯全体にその旨みが染み込んでいる。もちろん、ラーメンとの相性は言うまでもない。
ただ、ひとつだけ難点を挙げるとしたら、ご飯粒を残さないように丼を持ち上げてチャーハンを食べると、ラーメンのスープをこぼしそうになるのだ(笑)。
でも、まぁ、それは大した問題ではない。それよりもブラ丼のチャーラーということに何よりも惹かれたし、味も抜群だった。もっとこの店はネット上で評価されてもよいのにとの思いが頭を過ったが、これからも地元の常連客のためにおいしい料理を作り続けてほしいと思い直した。
取材・撮影/永谷正樹
1969年愛知県生まれ。株式会社つむぐ代表。カメラマン兼ライターとして東海地方の食の情報を雑誌やwebメディアなどで発信。「チャーラー祭り」など食による地域活性化プロジェクトも手掛けている。