駅長さんの現在は……?
藁にもすがる思いで、思い切って、愛国交通記念館を管理している帯広市役所に、駅長さんと私が出会った昭和45年からのストーリーを書いて投函しました。文面の最後に、個人情報の厳しい時代なので、私の方から探せる所があれば教えてくださいとお願いしました。
1カ月程経った頃、施術を終えてデスクに戻ると、私の携帯に名前の登録をしていない電話番号の履歴がありました。番号の横には「帯広」の文字が表示されています!
もしかすると?と、ドキドキする気持ちを押さえながら電話をしました。お電話に出られた方は、明るい声の帯広市役所の方でした。その時、教えていただけた事は、
・駅長さんは98才で、ご健在!(本当に嬉しかった)
・奥様は、残念ながら10年位前に亡くなられている。
・駅長さんの息子さんに私の電話番号を伝えたので、息子さんから連絡があれば進める。
・私に連絡があっても無くても、役所はここまで。
電話が掛かってくるかわからないのに、私の心はもう「ヤッター!」と叫んでいました。
からだ全体が熱を帯びた様になりました。この時の感覚は、今でも、はっきりと覚えています。
市役所の方にお礼を申し上げて電話が終わってから、ほどなくすると、駅長さんの息子さんから電話が入りました。開口一番、「覚えていますよ!いや~久しぶりですね!」と、高校生の頃にあって以来、半世紀ぶりなのに、ずっとお会いしているような温かな声を聴くと、正直涙が出そうになりました。
私が「駅長さんに、お会いする事が出来ますか。お礼と半世紀ご無沙汰していた事のお詫びを申し上げたいのです」とお伝えすると、「大丈夫ですよ!北海道へ来る日が決まったら連絡ください」と嬉しいお言葉をいただきました。
あ~良かった!本当に安心しました。その夜は一人で祝い酒をしました。