旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■名前がちょっと……
正解:バカガイ
難易度:★★★★☆
むき身になると呼び名が変わります
バカガイはマルスダレガイ目バカガイ科の二枚貝です。
実は、生物学的には「バカガイ」が正式名称なのですが、アオヤギといったほうがピンとくるかもしれませんね。
アオヤギはバカガイの貝殻を取り除いてむき身になった状態になったもののことですが、市場ではこちらの名称のほうが一般的となっています。
諸説ありますが、斧足と呼ばれる足のような部分をいつも殻を開けてダラリと出している様が「バカのようだから」ということでバカガイと名づけられたとか。なんと、アホガイと呼ぶ地域もあるのです。
バカガイの旬は、産卵期を迎える前の3~4月頃。とくに美味しいのは3月初旬頃までにとれたものといわれています。
バカガイは殻つきで流通することは稀で、むき身の状態、つまりアオヤギとして販売されることがほとんどです。
ちなみに、貝殻がハマグリに似ているため、潮干狩りでは間違えられることも多いようです。ただし、ハマグリよりも貝殻が薄くて割れやすいのが大きな違いです。
身と貝柱は別々に売られることが一般的で、寿司ネタや酢の物の具材としておなじみなのは、むき身にして内臓部分を取り除いた状態のもので「舌切り」と呼ばれます。
また、1個の貝に大小2つの貝柱があり、大きい貝柱は「大星」、小さい貝柱は「小星」と呼ばれます。
価格は舌切りより高く、寿司ネタや天ぷら、酢の物、ぬたなどに使われます。貝柱のかき揚げは、江戸前天ぷらの定番です。
北海道から九州まで、幅広く生息しますが、東京湾、伊勢湾、三河湾、瀬戸内海での水揚げ量が多く、とくに北海道産のものが多く、約5割を占めています。
北海道でとれたものは大きく黄味が強い、東京湾でとれたものは小ぶりで赤みが強い傾向があります。