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2000年、32歳で「一風堂」から独立

ラー博店でのご縁はその後も続き、6年後、6度目の独立を申し出たのが2000年。中坪さんが32歳のときでした。中坪さんは、「21世紀は自分で店をやりたい」と、思いを伝えたところ、河原さんも、「俺が一風堂を始めたのが32歳だったし、そろそろいい頃やね……」と、初めて認められたのです。

2001年10月11日、東京都渋谷区の神泉で、「麺の坊 砦」は開業となりました。屋号の名付け親は、師匠でもある河原成美さん。「いま居る処が最後の砦そしてすべての始まりなんだ。がんばろうぜ」―それが師匠の言葉でした。

店内に飾られる「一風堂」創業者・河原成美さんの書

「麺の坊砦」は“清潔で落ち着いたお店”という口コミが広がり、女性客比率が6割を超えています。オープン当初から、「女性客がすごしやすい環境に……」と、髪止め用のゴムや、ミントの香りのする爪楊枝など、細部に至るまで気を配った賜物でした。

そして、2011年4月17日、「麺の坊 砦」はラー博にオープンしました。振り返れば、この年の3月11日、東日本大震災が発生しました。出店自体は2010年の年末に決まっていたのですが、最終契約をしたのは、震災の1日前の3月10日でした。忘れられない記憶です。

独立して店主として出店した「麺の坊 砦」。開店初日の行列=2011年

スープは20時間煮込み、麺は日々配合調整

「麺の坊 砦」の一番の魅力は、旨みが凝縮されたクリーミーなとんこつラーメンだということです。その秘密は、豚の頭のみを20時間、原形がなくなるまで丁寧にアクを取りながら煮込んだスープにあり、臭みがほとんどないのです。

「麺の坊砦」の「のりと半熟玉子らぁめん」。20時間煮込んだクリーミーなとんこつスープ

店のすぐそばにある製麺所で作られる麺は、その日の気温や湿度によって配合を調整し、日々の微妙な変化にも対応しています。チャーシューは2日間煮込み、余分な脂を飛ばしています。

本店の近くにある製麺所で作る麺。気温や湿度で配合を毎日調整するという
「砦らぁめん」。チャーシューは2日間煮込み、余分な脂を飛ばしている

新横浜ラーメン博物館30周年企画「あの銘店をもう一度」では、2023年1月31日から3週間、出店いただきました。その折には、「昔みたいに走り回れない」と、言われていましたが、いざオープンすると、元気のいい接客と、きめこまかい心配りも以前のままでした。

何より、唯一無二のクリーミーなとんこつラーメンは、やがて創業四半世紀を迎えます。その技術と思いで、「麺の坊 砦」を続けていってほしいと思っております。

麺の坊 砦

[住所]東京都渋谷区神泉町20-23

渋谷区神泉にある「麺の坊 砦」
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『ラー博30年 新横浜ラーメン博物館 あの伝説のラーメン店53』2025年2月20日発売
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おとなの週末Web編集部
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