彩のよい和食の前菜が、日本らしい華やかさを添える
今、和食は世界的に認知され、評価されている。それなら食事会に取り入れてはどうか。
このようにお考えになった陛下と雅子さまが、和食をメニューに取り入れることを宮内庁にすすめられたのであった。
まずは2023年11月にキルギスの大統領夫妻を招いた午餐会で和風オードブルが出され、手ごたえを見られた。そして今回、いよいよ晩餐会に和食が初登場したのである。
今回の晩餐会のメニューを見てみよう。和食の前菜が入ったことで、従来はメニューにあった魚料理やサラダが省略されている。和食のメニューに組み込まれているからであろう。
「和食前菜」として、スモークサーモンとマダイとエビの棒ずし。カニのきぬた巻き、梅肉ソース。いんげんの湯葉巻き揚げ。豆腐の西京漬け。芝エビと青アスパラガスのクルミ和え、こごみ添え。ホタテ貝と紅白なます。カニとホタテ貝と青のりの3色団子。さつまいもの蜜煮とそら豆の密煮に花弁ゆりね。
「スープ」として、野菜入りのコンソメスープ。
「肉料理」として、羊のもも肉の蒸し焼き。
「デザート」として、果物とレモンゼリー。
美味しそうな、美しく手の込んだ料理が目に浮かぶ。天皇家の大膳(料理担当)が、腕によりをかけて調理したに違いない。2003年のキルギス大統領夫妻を招いた午餐会では控え目に出された手まり寿司だったが、今回の和食前菜はメインディッシュをしのぐほどのボリュームである。和食と公表されているからには、日本らしい趣のある器に盛りつけられたことであろう。
ちなみに、飲み物はこのようなラインナップであった。
食前用として、ドライシェリー(サンデマン・ミディアム・ドライ)、トマトジュース、フレッシュオレンジジュース。
卓上に置かれた酒類は、シャンパン(ドン・ぺリニヨン2004)、日本酒、白ワイン(コルトン・シャルル・マーニュ2001)、赤ワイン(シャトー・オー・ブリオン1996)。日本酒はワイングラスではなく、日本の伝統工芸である江戸切子の冷酒杯に注がれた。
食後には、コーヒー、コニャック(ヘネシー・エクストラ)、リキュール(コアントロー、ペパーミント)、ウィスキー(バランタイン30年)が用意された。
彩りのよい和食の前菜が、日本らしい華やかさを演出している。一皿ごとに、来賓たちの感嘆の声が聞こえてくるようである。