人と人との交流が、平和な世界につながるように願われる
皇室外交、という言葉をよく耳にする。天皇家が諸外国との交流で担う役割は、利害関係を交渉する外交ではなく、あくまでも友好と親善を意識した交流である。国賓を招いた天皇家の「おもてなしの心」の神髄は、小さな島国であっても、広い大国であっても同じように大切に接遇することにあるという。
陛下は、天皇家の外国との交流についてこう話されている。
「国と国との間では、さまざまな緊張関係が今も存在しますが、人と人との交流が、国や地域の境界を越えて、お互いを認め合う、平和な世界につながってほしいと願っております」
このお考えを反映した令和の天皇家の新しいスタイルが、晩餐会のメニューに込められているのだろう。(連載「天皇家の食卓」第37回)
※トップ画像は、春の園遊会での天皇、皇后両陛下=2025年4月22日、東京・元赤坂の赤坂御苑(C)JMPA
参考文献:『ご即位5年ご成婚30年 新しい時代とともにーー天皇皇后両陛下の歩み』(宮内庁侍従職特別協力、毎日新聞社)、『宮中 季節のお料理』(宮内庁監修、扶桑社)、宮内庁公式ホームページ
文/高木香織
たかぎ・かおり。出版社勤務を経て編集・文筆業。皇室や王室の本を多く手掛ける。書籍の編集・編集協力に『美智子さま マナーとお言葉の流儀』『美智子さまから眞子さま佳子さまへ プリンセスの育て方』(ともにこう書房)、『美智子さまに学ぶエレガンス』(学研プラス)、『美智子さま あの日あのとき』、『日めくり31日カレンダー 永遠に伝えたい美智子さまのお心』『ローマ法王の言葉』(すべて講談社)、『美智子さま いのちの旅―未来へー』(講談社ビーシー/講談社)など。著書に『後期高齢者医療がよくわかる』(共著/リヨン社)、『ママが守る! 家庭の新型インフルエンザ対策』(講談社)。