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足回りの変更が急務

サスペンションはベースのZR-Sが前:ダブルウィッシュボーン/トーションバースプリング式、後:3リンク/コイル式なのに対し、パジェロエボは4輪ダブルウィッシュボーン/コイル式に変更。このサスペンションはARMIE(アーミーと読む)と命名され、All Road Multilink Indipendent suspension for Evolutionの頭文字をとったもの。クロカンタイプのオフロード4WDとしては初の四輪独立縣架で、悪路でも最適なトラクションを確保すると同時に、乗り心地も考慮されていた。

加えて、砂漠、悪路を走破するためにはサスペンションストロークの確保は急務で、前:240mm、後:270mmという市販モデルではオーバースペックとも思える超ロングストロークのよく動く足を実現。最低地上高も245mmを確保している。

そのほかボールジョイント式スタビライザーの採用、凸凹道でもしっかりと減衰するようにショックアブソーバーの最適化が図られるなど、シャシー、足回りはベースとはまったく別物に仕上げられている。これもパリ・ダカで勝つためだ。

闘うクルマとして、シャシー、足回りの強化は急務だった

高回転が気持ちよく、トルクバンドの広いエンジン

三菱は1996年8月に世界初の量産ガソリン直噴エンジンのGDIをギャラン/レグナムに搭載。その後拡大採用していき、1997年5月には3.5L、V6DOHCのGDIをパジェロにも搭載(245ps/35.0kgm)。

パジェロエボの心臓部はこの3.5L、V6DOHCのGDIをベースに三菱独自の可変バルブタイミング&リフト機構のMIVECを組み合わせてNEエンジンながら当時国産車の上限であった280psをマーク(最大トルクは35.5kgm)。ベースエンジンに比べて35ps/0.5kgmのスペックアップとなっていた。

3.5L、V6DOHCのGDIエンジンにMIVECを組み合わせて280psをマーク

三菱のMIVECはホンダのVTECに匹敵する技術で、その回転フィールの気持ちよさ、低速と高速のカムが切り替わる時の自然なフィーリングなどを持っていて評価が高かった。

実際にパジェロエボのエンジンも、3.5Lという大排気量とは思えない軽やかな回転フィールを持つ。回転とともにパワーが盛り上がって、しかもサウンドも猛々しくなる本当に心地のいいユニットだった。

ただし、高回転化、ハイスペック化により燃費はベースが9.0km/Lに対し、5速MTが7.5km/L、5速ATが7.1km/Lと悪化。ガソリンタンクは70Lの大容量を誇ったが、実際は500kmも走れなかった。おまけにハイオク指定ゆえガソリン代は安くはなった。燃費は現代のクルマから考えると劣悪という部類も、パジェロエボのポテンシャルにほれ込んだ人にとっては我慢できるレベル。

ボンネットは軽量化を考えてアルミ製に変更

高性能をイージーに堪能できる

駆動系は三菱自慢のスーパーセレクト4WD。2H(後輪駆動)、4H(フルタイム4WD)、4HLc(センターデフロック)、4LLc(副変速機付きローレンジ4WD)を自在に選択でき、常に最適な駆動力を確保でき、しかもイージーに誰でも使えるという優れもの。

この珠玉のNAエンジン、駆動系に組み合わされるトランスミッションは5速MTとINVECS-IIスポーツモード5速ATの両方をラインナップ。人気はイージーに高性能を堪能できるマニュアル操作が可能な5ATなのだが、逆に現在5MT車は中古マーケットで希少価値が高い。

ちなみにパジェロエボは、三菱の社員ドライバーとしてパリ・ダカ、WRCに参戦していた篠塚建次郎氏が開発ドライバーを務めた。自らが参戦するマシンのベース車を開発する工程はさぞかしモチベーションも上がり楽しかっただろう。

スーパーセレクト4WDによって、誰もがイージーにオフロードを堪能できる
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外観はすべてについて理由がある
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市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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