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外観はすべてについて理由がある

パジェロエボではボディワークにもこだわりを見せた。何しろ勝つことが絶対命題だけに手抜きは一切ない。仰々しく見えるボディデザインも、一つひとつに理由があり、こけおどし的なものは皆無なのだ。

まずはエアロダイナミクス。サイドストップ一体型エアダムスカート、そしてリアの大きな特徴である大型フィン付きリアスポイラー(角が生えたように見える)は高速域でのダウンフォース強化と整流効果を狙ったもの。

一見チョロQルックに見えるパジェロエボ。真横から見たアングルはぜい肉を削ぎ落としたアスリート的

エアインテーク付きアルミ製ボンネット、フロントのオバフェンに装着されたエアアウトレット、開口部の広いラジエターグリルは冷却性能の向上を狙ったものだ。フロントのアンダーガードは、見た目を精悍にするためのアイテムではなく、悪路走破において下回りを保護するアイテムだ。

前出の仰々しいまでのオーバーフェンダーは、ワイドトレッド化を実現させるため。専用デザインの片側2個左右で4個のフォグランプを埋め込んだ大型フロントバンパー、リアバンパーとも精悍さを醸し出している。

美しさは皆無だが、機能美というにふさわしい迫力は数ある日本の競技ベース車でも群を抜いている。

フロントのプロジェクターフォグを4つ埋め込んだ大型フロントバンパーもカッコいい

快適装備や安全装備が充実

インテリアは基本デザインはベースのZR-Sと同じながら、メーター回り、エアコンの吹き出し口にカーボン調パネル(リアルカーボンでないのは残念だが価格を考えると許す)を採用、ステアリングは本革巻きの4本スポークのスポーティなものがあしらわれる。

シートはサイドサポート性に優れたレカロシートを特別装備。実際に座ってみるとフィット感抜群で、高速のロングツーリンゴなどでも疲れ知らず。

シックな色遣いのインテリア。本革巻き4本スポークステアリングは握り心地に優れている

その一方で昔の競技ベース車=エアコンレスというイメージもあるなか、フルオートエアコンは標準装備だし、キーレスエントリーも標準のため街中で使う際のロードカーとしての利便は性高い。

ABS、運転席・助手席の両席エアバッグという当時の安全装備も標準装備していたように単なる”競技バカ”ではないのだ。

サイドサポート性に優れたレカロシートを標準装備

2500台限定ながらバーゲンプライス

パリ・ダカで勝つために生まれたパジェロエボは抜かりのない改良、変更が施されているのがわかってもらえたはずだ。2500台限定でベースのZR-Sの5速ATが355万7000円に対し、パジェロエボは5速MTが374万円、5速ATが390万8000円と装備内容を考えると破格の価格設定だった。

今この手のクルマが出れば、瞬殺となるのは確実。ましてやパジェロエボはバーゲンプライスで登場したが、当時クロカンはブームが去った後はワゴン、ミニバンに人気面で圧倒されていて販売を落としていた。そのためパジェロが3代目に切り替わる1999年まで販売された。2500台の限定と謳っていたが、実際は若干増産されて2700台程度が販売されたもよう。今になって買っておけばよかったと後悔している人は少なくない。

日本のラリー界のレジェンド2人、篠塚氏と竹平素信がパジェロエボの前で談笑。パジェロエボの初試乗の時のカット
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20世紀最強のクロカン
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この記事のライター

市原 信幸
市原 信幸

市原 信幸

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