全店実食調査!『おとなの週末』が自信を持っておすすめするお店をご紹介します。今回は、東京・両国の独立書店『YATO』です。
本だけ読んで生きていたいと願った店主の夢の城
独立系の書店って、店主が気難しそうなイメージがありませんか?
通り過ぎてしまいそうになる控えめな佇まいの『YATO』。新刊書店とは思えない混沌とした雰囲気。鰻の寝所のように奥に細長い店内を、本をかき分けるように進んでいくと、本に埋もれたカウンターにオーナーの佐々木友紀さんがいるはずだ。
安心してください。佐々木友紀さんはとても柔和な方。青森県出身で、東京の大学を卒業後、地元で夢だった高校の英語教師になった。その後、もうひとつの夢の「店主」に心が動き、本屋の開業を決意。東京の書店での修業を経て、2019年に当店を開いた。
「30歳までに浴びるほど本を読まないと必ず後悔すると思い、教師になる前に1年のうち360日、10時間は本を読み、数年を過ごしました。人文系の本は2千部ほどの発行部数でも、国民の大半は読んだ方がいいようなとんでもなく素晴らしいことが書かれていたり。そんな本約300冊の在庫から始めました」
客からの注文が多く、佐々木友紀さん好みの選書は幅広いニーズを取り込みながら成長した。書棚は増築を重ね、かつて土・日はにぎわったカフェスペースもコロナ禍を機に書棚に変わって、店内は迷路のようだ。現在約5500冊が並ぶ。
本所吾妻橋駅近くに、姉妹店として読書できるカフェ『ORAND(オランド)』とイベントスペース『OUET(ウエ)』を開いた。対談イベントなどで食関連の専門家とのネットワークが広がり、『YATO』の棚にも料理本など生活ジャンルの本が増えてきた。
「これからどうなっていくんですかねえ」と他人事のように話す佐々木友紀さん。彼自身が予測不能な店の進化を見守り、楽しんでいるのだった。
オーナー:佐々木友紀さん「小さな書店でも人文書の新刊が並ぶ店にしたかった」
【owner’s recommend】『働かない』トム・ルッツ著
佐々木友紀さんの「ニート時代に影響を受けた」一冊。英米において怠け者と呼ばれた働かない人たちの動向を追った労働文化史。
「就活を無理しなくていいと肯定してもらえたし、働いてみようとも思わせてくれた本です」
両国『YATO』
[店名]『YATO』
[住所]東京都墨田区石原1-25-3
[電話]なし
[営業時間]14時~19時※月・火のみ予約制
[休日]水・木
[交通]都営地下鉄大江戸線両国駅A3出口から徒歩7分
■おとなの週末2025年12月号は「冬の温蕎麦」
撮影/西崎進也、取材/渡辺高
※月刊情報誌『おとなの週末』2025年10月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。







