現行フィットよりもコンパクト
シビックは2代目で愛称が着けられ、2代目はスーパーシビックだったが、3代目はワンダー(WANDER:驚きを意味する)。3代目シビックといわれてもピンとこなくても、ワンダーシビックと言えばだれもがわかるほどその愛称は浸透。
3代目シビック3ドアハッチバックのボディサイズは、全長3810×全幅1630×全高1340mm。現行フィットが全長3995×全幅1695×全高1540mmだから、そのフィットよりもコンパクト。当時の日本車は全幅1700mmを超えるクルマが少なかったこと、コンパクトカーは軒並み全長4000mm以下だったこともあり特別小さいとは思わなかった。
今のシビックはシビックじゃない、というイメージを持っている人は多いがそれもそのはず、現行シビックは全長4560×全幅1800×全高1415mm。時代の流れ、北米でのニーズとはいえ、シビックと名乗っているだけでまったくの別グルマというのは否めない。これはいい悪いではなく、オールド世代の率直な意見だろう。
3ドアハッチバックのデザインが秀逸!!
バラード系を除けばシビックシリーズとしては3ドアハッチバック、4ドアセダン、5ドアハッチバックのシャトルの3タイプをラインナップしていたが、一番人気は3ドアハッチバックだった。
この3ドアハッチバックの最大の魅力は、そのエクステリアデザインにある。空力を考えた低いボンネット、コンパクトハッチとしては低い1340mmの全高が醸し出すスポーティ感、美しくかつ伸びやかさを感じさせるルーフライン(ホンダは弾丸シェイプと表現)、スパッと切り立ったリアエンドなど、筆者個人的な感想を言わせてもらうと、1980年代前半の世界のコンパクトハッチバックで最も秀逸なデザインだと思っている。
初代、2代目シビックは大衆車的な親しみ感、かわいらしさがあったのに対し、3代目シビックはひとクラスもふたクラスも上の高級感を持っていた。それと同時にルーフラインに代表される美しさは特筆で、おまけにスポーティさも持ち合わせていた。実車を見たのは高校生の時だったが、2代目とのギャップに驚かされた。実は3代目シビックは、自動車として初めて『グッドデザイン賞』を受賞したモデルでもある。
その一方で4ドアセダンはピラー類が立ちすぎていてキャビンがやたらと目立って不格好。3代目で新設された5ドアのシャトルについては、同じハッチバックでも間延びしている。3ドアハッチバックとルーフラインが違っていて洗練されていなかったのでカッコ悪い。 これは筆者の個人的な感想だが、的外れではないと思う。
現在コンパクトハッチバックの3ドアモデルはGRヤリスくらいで5ドアが当たり前なのだが、当時のコンパクトハッチバックは3ドアが人気だった。
小さなボディに広い室内
ホンダにはMM思想というのがある。MMとはMan-Maximum・Mecha-Minimum)の略で、「人のスペースは最大に、メカニズムのためのスペースは最小に」という意味だ。これは現在のホンダ車でも一貫している『人間中心』というホンダのクルマづくりの基本思想で、MM思想の原点は1967年デビューのN360と言われているが、ホンダがMM思想という言葉を初めて提唱したのが3代目シビックだった。
3代目シビックの室内は、全長4mを切るコンパクトハッチバックとは思えないほど広々していた。特にリアシートの居住性はクラスナンバーワンで、リアシートは前後に100mmスライドし、シートバックは9段階の調節が可能というひとクラス上の快適性を持っていた。ただし、居住空間を重視した代償として当然ながらラゲッジは狭かった。
インパネのデザインも洗練されていてオシャレ。女子ウケもバッチリだった。当時の女子大生などは、ソアラ、セリカXX、プレリュードなどの影響で目が肥えていたため、ハッチバックの人気は低かったが、3代目シビックだけは別格だった。シビックに乗っている男性はオシャレというイメージすらあった。








