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お召列車には10回ご乗車

天皇、皇后両陛下がご乗車になる列車を「お召列車」と呼ぶ。これは明治天皇の時代から使われている皇室用語であり、鉄道用語だ。このような列車は、日本に限らずイギリス王室やオランダ王室でも見られる。日本のお召列車の場合、皇室専用の特別車両を連結して、列車の先頭部に国旗を掲出した場合を”正式なお召列車”とする向きもあるが、天皇、皇后両陛下がご乗車になれば、そのすべてはお召列車なのである。

今年は、皇室専用の車両こそ連結されなかったが、正式なお召列車にも使用する「なごみ」の愛称で呼ばれる団体専用のハイグレード車両(E655系)を使用したお召列車が、6年ぶりに登場した。8月に静岡県下田市にある須崎御用邸へご静養のため、天皇陛下、皇后雅子さま、愛子さまが東京駅から伊豆急下田駅まで向かわれた際に運転されたお召列車だった。

愛子さまのご利用は片道のみで、お帰りの際は両陛下とは別日に単独で「サフィール踊り子号」で帰京された。ちなみに、地方公務でも北陸新幹線(5月)と上越新幹線(9月)にも乗車されているが、愛子さま単独でのご乗車の場合は、お召列車とは呼ばない。

今年走ったお召列車は、東海道新幹線では9月に2回、10月に1回、11月に2回の計5回、近鉄特急では11月に3回の計8回あった。これに「なごみ」車両〔E655系〕を使用したお召列車を含めると、その合計は10回を数えた。

来年の4大行幸啓は、全国植樹祭が愛媛県、国民スポーツ大会が青森県、国民文化祭が高知県、全国豊かな海づくり大会が大阪府で開催される予定だ。このほかに被災地へのご訪問が予定されており、鉄道ファンの間では「お召列車」への期待感は高まるばかりだ。

東海道新幹線お召列車で帰京される天皇陛下と皇后雅子さま。JR東海・米原駅で=2025年9月29日、米原市米原
サフィール踊り子号で東京駅へ到着された愛子さま=2025年8月5日、千代田区丸の内
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文・写真/工藤直通

くどう・なおみち。日本地方新聞協会皇室担当写真記者。1970年、東京都生まれ。10歳から始めた鉄道写真をきっかけに、中学生の頃より特別列車(お召列車)の撮影を通じて皇室に関心をもつようになる。高校在学中から出版業に携わり、以降、乗り物を通じた皇室取材を重ねる。著書に「天皇陛下と皇族方と乗り物と」(講談社ビーシー/講談社)、「天皇陛下と鉄道」(交通新聞社)など。芝浦工業大学公開講座外部講師、日本写真家協会〔JPS〕正会員、ニコンプロフェッショナルサービス〔NPS〕会員、鉄道友の会会員。

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