天皇、皇后両陛下の地方公務は、4大行幸啓と呼ばれる全国植樹祭、国民スポーツ大会(旧・国民体育大会)、国民文化祭、全国豊かな海づくり大会が毎年の恒例行事となっている。しかし、今年は戦後80年という節目の年であったことや、55年ぶりとなる日本万国博覧会の開催とあって、地方へのお出ましは例年よりも多い年となった。同行取材で垣間見た両陛下をはじめ皇室の方々と国民とをつなぐご公務のあり方にも、些少なりに変化が見られた。来る2026(令和8)年も多くの地方ご訪問が予定されている。行く先々で国民に向き合われてきた天皇ご一家のこの1年を、ふり返ることにしたい。
※トップ画像は、原爆落下中心地碑のある平和公園で原爆殉難者名奉安所に御供花される天皇、皇后両陛下と愛子さま=2025年9月12日、長崎市松山町
海外2か国、国内では14都道府県をご訪問
天皇ご一家は、2025(令和7)年も例年にも増す地方公務をこなされるなど、お忙しい1年を過ごされた。海外ご訪問2か国、国内の地方ご訪問では延べ14の都道府県へ足を運ばれた。天皇陛下、皇后陛下とともに愛子さまがご一緒にお出ましになられたのは、地方と都内を合わせると7回を数えた。
海外へは、7月に両陛下がモンゴルへ、11月には愛子さまがラオスを訪問された。国内では、両陛下が4大行幸啓(5月=埼玉県、9月=長崎県・滋賀県、11月=三重県)のほかに、1月には阪神・淡路大震災30年追悼式で兵庫県を、戦後80年という節目の年にあたり4月に硫黄島(いおうとう/東京都小笠原村)、6月には沖縄県と広島県を訪れた。なお、長崎県へは4大行幸啓に併せてのご訪問となった。
このなかで特筆されることは、沖縄県と長崎県へは愛子さまもご一緒に訪問なさったことだろう。雅子さまも、ご体調へ配慮なさりながらも10の都道府県を訪れた。しかし、5月の埼玉県へのご訪問は、出発当日の朝にお取りやめになられた。このため、天皇陛下おひと方でのご訪問となったわけだが、そのご表情からは少しお寂しそうに見受けられた。










