“棚貸し”もしている地域の交流拠点『ブックカフェ ぐるり』
『ブックカフェ ぐるり』は、匝瑳市初の地域おこし協力隊として活動していた店主の北條将徳さんが2024年3月から始めた小さなカフェだ。店名の「ぐるり」には、人と人、本と人、地域と人がゆるやかにつながり、循環していく願いが込められている。
ちょっと変わった店で、個人や地域の店、企業に有料で“棚貸し”をし、棚主はそれぞれの商品やサービスをアピールする。単にコーヒーを飲むだけではなく、地域の人たちが交流し、サークル活動のような読書会なども行われている。
メニューはドリップコーヒーのほか、地元の有機大豆を使った「大豆コーヒー」(500円)やオリーブの茶葉を使った「オリーブ茶」(500円)、有機大麦を使った「ソーラービール」(900円)など匝瑳市産の素材を使ったドリンクをはじめ、漢方やスパイス入りのクラフトコーラ「伊良(いよし)コーラ」など体にやさしいものを集めた。
面白いのが、「Pay Forward」(ペイフォワード、恩送り)という仕組み。
「高校生以下の子どもが来てくれた際は、以前はドリンク類を半額で提供していたところ、すべて無料にしました」。
北條さんによると、2024年秋ごろから、「子どもにぐるりのような文化的な空間に触れてほしい」「次世代のために使ってほしい」と寄付をしてくれる人が相次ぎ、その後も不定期で寄付され続けているとのこと。
そこで、「寄付の残額に限らず、『子どもはドリンク0円』で提供することを決めた」という。
そんなことで、地元の中学生が学校帰りに友達と一緒にカフェで宿題をしたり、常連の方と交流する女子中学生の姿が見られたり、店主に相談に来る高校生がいたりと、地域の見守り・交流拠点として、一般的なカフェとは異なる風景が広がっている。
本棚には、北條さんが選んだ本や、地域の人から寄贈された本が約800冊並ぶ。北條さんは平成5(1993)年生まれ、東京都新宿区育ち。都会から田舎への移住者がカフェを作ったことで、人と人がつながり、新たな化学反応が生まれている。
『ブックカフェ ぐるり』
住所:千葉県匝瑳市八日市場イ2915
電話:090-9805-8769
営業時間:11時〜19時
定休日:月・火曜
文・写真/野添ちかこ
温泉と宿のライター、旅行作家。「心まであったかくする旅」をテーマに日々奔走中。「NIKKEIプラス1」(日本経済新聞土曜日版)に「湯の心旅」、「旅の手帖」(交通新聞社)に「会いに行きたい温泉宿」を連載中。著書に『旅行ライターになろう!』(青弓社)や『千葉の湯めぐり』(幹書房)。岐阜県中部山岳国立公園活性化プロジェクト顧問、熊野古道女子部理事。



