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横浜・八景島シーパラダイス/噴水と光が彩る「劇場型イルカショー」

海獣パフォーマンスのスケールの大きさと完成度で際立っているのが、横浜・八景島シーパラダイスだ。

関東最大のスタジアムの広さはもちろん、1回のプログラムで出演する海獣たちが多様なことにもスケールの大きさを感じる。

数々の噴水やシャワー装置によって、さらにショーアップされているのも見どころだ。

広いプールを縦横に使って繰り広げられるパフォーマンスは、イルカたちのスピード感、シロイルカとトレーナーの絆、セイウチのおっとりした魅力、ペンギンのコミカルな動きなど、次々と繰り出されるシーンに、わくわくが止まらないだろう。

昼のパフォーマンスとは別に、期日限定のナイトバージョンでは、映像や光線を駆使した特別なイルカショーが開催される。

バンドウイルカとカマイルカによるイルカパフォーマンス。後方には巨大モニターもある

こちらでのシロイルカのパフォーマンスは、珍しく水面上を中心に行われる。イルカたちのスピード感やジャンプ力とは違う優雅な動きは、鴨川シーワールドなどと同じだが、こちらでは特にトレーナーとの関係性が目立つように工夫されている。

いずれのパフォーマンスでも、シロイルカはトレーナーから離れることなく泳ぐ。おでこでトレーナーを押して水中に潜ったり、背に乗せたり、時には抱き上げたりと、その優しい所作からは、彼らが人を仲間として認識し信頼していることが伝わってくる。

このような人に対する行動は、実際に野生でも確認されている。作り上げられたプログラムだが、海獣たちが地球の愛すべき仲間であることを実感できるはずだ。

全てのシーンでシロイルカとトレーナーの信頼の深さが伝わってくる

おたる水族館/野生のトドが勝手に乱入!? ワイルドすぎる「海獣公園」

本来は広大な大自然の中で自由に暮らす野生の海獣たち、その片鱗を垣間見られるのが、おたる水族館の「海獣公園」と名付けられた海辺のエリアだ。海を仕切った広い天然プールが中心で、そこにはたくさんの巨大なトドとアザラシの仲間たちがいる。

天然プールの外海には野生トドが集まる岩場もあり、雄の野生トドがプールの中の雌のトドを求めて勝手に入ってきたこともある豪快さだ。

そんなワイルド感満載のプールで行われるトドのパフォーマンスもやっぱり豪快そのもので、観覧者の間近で巨体を逆立ちさせたかと思えば、岩場の上の高いジャンプ台から豪快なダイビングを見せてくれる。

巨大なトドが勢揃い。間近で見るとその迫力に正直ビビる

海獣公園では、トドの他にも、アザラシ、ペンギン、セイウチのイベントがあるが、どれもおおらかすぎる内容で観覧席からの声援と爆笑が絶えない。

その中で特に人気があるのがセイウチで、「せいうちのじかん」という名称が納得のおおらかなショーだ。実のところセイウチたちは気が向くとこのショータイム以外でも、観覧者に愛想をふりまいてくれる。

そして、アザラシたちへの給餌体験はぜひ参加してもらいたい。餌を買って自由に与えることができるのだが、アザラシたちは餌を手に入れようとそれぞれ自ら編み出した独自のパフォーマンスを披露する。観覧者とアザラシが一緒に創り出す、アザラシ劇場だ。

セイウチが長い牙を見せに窓際にやってきてくれた

鳥羽水族館/国内最後のラッコ展示と全海獣グループが揃う聖地

かつて一世を風靡したラッコ展示も、今ではその草分けだった鳥羽水族館だけになった。

鳥羽水族館は、国内でここだけでしか会えない珍しい海獣たちを多数有する、貴重な水族館だ。海獣ショーもあるが、ここでは「海獣度」の高い水族館として紹介したい。

ラッコはすでに国内最後の展示として有名だが、高齢な2頭の健康管理(運動不足解消や頭の体操)を兼ねた給餌時間は、セイウチやアシカのパフォーマンスを超える人気ぶりだ。

ガラスに貼り付けられた餌をジャンプして捕るのにも歓声が上がるが、食べた後の貝殻やオモチャ、三角コーンなどをトレーナーの元に運んできて渡すという行動には誰もが驚く。

かつては、この給餌時間を見たり撮影したりしたい大勢のラッコファンが開館と同時に押し寄せて場所取りをし、一日中動かないことが続いたが、今は並んだ順に1分の制限時間で観覧終了という方式になったので、誰にでも給餌時間に当たるチャンスがある。

オモチャを胸のポケットに集めてトレーナーの元に返しにいく

パフォーマンスなどは無いが、ラッコ以外に絶対に会っておきたいのが海牛類のジュゴンとアフリカマナティーだ。いずれも国内唯一の稀少種で、同時に会えるのは世界的にも例がない非常に貴重な展示である。

海牛類は海獣で唯一、海草や水草を食む草食獣でゾウに近縁だ。そのため、丸々と太った身体の動きはとてもゆっくりで、眺めているだけで癒やされる。

実は、地球上の海獣類の全ての仲間、鯨類、アシカの仲間、アザラシの仲間、セイウチ、海牛類、ラッコの全てが揃っているのは世界でもここだけであり、これこそが、本稿で鳥羽水族館を紹介した最大の理由である。

世界でも鳥羽水族館だけが実現している、海獣類の全グループがそろう展示。そのすべての海獣たちに実際に会って回れることこそ、鳥羽水族館ならではの魅力だと覚えておいていただきたい。

ジュゴンの優しい目とゆったり泳ぐ姿に癒やされる。マナティーはこの倍ほども丸々と太っている

この夏は、海獣の魅力にどっぷりハマってみてほしい。


中村 元(なかむら・はじめ)
1956年三重県生まれ。成城大学卒業後、鳥羽水族館に入社。アシカトレーナーから企画室長を経て副館長を務める。TBS系『わくわく動物ランド』『どうぶつ奇想天外』への映像提供をはじめ、ラッコブームの立役者として手腕を発揮した。2002年に独立後は「集客請負人」として活躍。「新江ノ島水族館」「サンシャイン水族館」「北の大地の水族館」など、独自のマーケティングと弱点を強みに変える斬新な展示で、数々の施設を奇跡的な増客へと導く。現在も国内外のいくつもの水族館で最新の展示を開発し続けている。慈慶学園COMグループ名誉学校長ならびに北里大学学芸員コースで博物館展示論を講義。おもな著書に『水族館の通になる』(祥伝社)、『水族館哲学 人生が変わる30館』(文藝春秋)、『常識はずれの増客術 』(講談社)ほか多数。最新刊は『新版 全館訪問取材 中村元の全国水族館ガイド129』。

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