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川崎は日本屈指の工業・商業都市として、常にタフな労働を求められてきた歴史がある。そのタフさは食文化にも色濃く反映されており、力強い家系や二郎系が象徴するように、川崎は「ガッツリ戦うためのエネルギー」に満ちた街だ。昼夜問わずエネルギッシュでストレスフルなこの街だからこそ、1日のタスクを終えた大人が求めてやまない「静寂の味わい」がある。今回紹介するのは、単に「あっさりしている」だけのラーメンではない。戦い終えた心身を「オフ」へと導いてくれる、職人の執念が詰まったスープ。すするごとに緊張がほどけ、五臓六腑へじんわりと染み渡る、いまの川崎を生きる人にこそ捧げたい「沁みる一杯」を厳選した。

濃厚の奥に優しさあり。沁みる鶏白湯ラーメンの正解『鶏煮亭 ようすけ』

川崎駅の繁華街から少し離れた、歩道橋の影に隠れるように佇むお店『鶏煮亭 ようすけ』

『鶏煮亭 ようすけ』
『鶏煮亭 ようすけ』

流行り廃りの激しいラーメン界、ましてや力強い家系や二郎系が主権を握るこの川崎において、「13年」という歴史を刻み続けている事実は、驚きを通り越して畏敬の念すら抱かせる。

駅から少し歩く立地でありながら、連日多くのファンが足を運ぶのは、ここにしかない唯一無二の味わいがあるからだ。

『鶏煮亭 ようすけ』の「特製濃厚鶏白湯ラーメン」(大盛り1480円/2026年6月時点)
『鶏煮亭 ようすけ』の「特製濃厚鶏白湯ラーメン」(大盛り1480円/2026年6月時点)

看板の「濃厚鶏白湯ラーメン」は、国産の丸鶏とモミジを大量に使い、長時間かけて丁寧にとったスープがベースとなっている。仕上げに鶏油を加えるが、あえて量を抑え、油に頼らずスープそのもので鶏の旨みを感じさせるバランスを追求している

これが濃厚でありながら重たくない味の秘訣。後味すっきりしで毎日でも食べたくなる、深みと優しさを兼ね備えた一杯だ。

特にオススメのトッピングは玉ねぎ。じっくりと水に馴染ませることで、刺激的な辛味を心地よい甘みへと昇華させたシャキシャキの玉ねぎは、濃厚な鶏白湯スープの中で自然な甘みと爽やかな食感を与えてくれる。鶏の旨みを優しく引き立てながらも、重くなりすぎず全体を軽やかにまとめてくれるため、鶏白湯ラーメンに非常に合う。

店主の水野さんが辛味を抜き、食感を活かすために丁寧な仕事をしているだけあり、一度入れればその魅力の虜になり、やみつきになる人が後を絶たない。

食事を楽しんでほしいという思いから、卓上にはこだわりの調味料を豊富に用意している。お客さん自身でアクセントや塩味を微調整できる自由度も大切にしている。

他にも醤油・酢・ゴマ・辛味・鶏粉・カットレモンなど種類豊富
他にも醤油・酢・ゴマ・辛味・鶏粉・カットレモンなど種類豊富

卓上調味料として置かれている「鶏粉」もぜひ試してほしい。珍しい調味料だが、スープに鶏粉を少し加えると、鶏の味わいがさらに立体的に広がり、奥行きとコクが一層増す。シンプルながらも「鶏をより感じる」ための、店主ならではのこだわりが光るアイテムだ。

麺は卵黄を使用した「たまごめん」で、濃厚スープに負けないコシと存在感を持たせている。鶏チャーシューは仕込みから提供まで3日間かけ、具材全体の調和を最優先に丁寧に仕上げている

麺は卵黄を使用した「たまごめん」
麺は卵黄を使用した「たまごめん」

川崎は家系ラーメンの影響が強い土地柄で、オープン当初は地元民の戸惑う声があったというが、今では「濃厚なのにのど越しは驚くほど滑らか」との声が最も多く聞かれるようになった。

限定メニューも積極的に展開しており、家系をもじった「ようす家」や煮干しラーメンなど、いつ訪れても新しい楽しみが待っている。水野さんのラーメン作りへの探究心が感じられる取り組みだ。

水野さんが目指すのは、人生の中で自然と拠り所のひとつになれるお店だ。子供の頃に親に連れられて来て、友人と来て、恋人と来て、やがて自分が親となって子供を連れてくる——ディズニーランドのような、世代を超えて長く愛される場所でありたいという。

まだ道半ばではあるが、優しい味わいの鶏白湯ラーメンが幅広い層に少しずつ受け入れられている。

■『麺匠 ようすけ 鶏煮亭』
[住所]神奈川県川崎市川崎区榎町1-18 セントラル・ハイツ
[電話番号]044-221-8227
[営業時間]11時半〜23時(月は11時半〜15時、17時半〜23時)
[休日]無休
[交通]JR京浜東北線ほか川崎駅東口から徒歩11分、京急川崎駅中央口から徒歩10分

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自家製極太麺と鶏白湯×魚介×豚骨の美しいグラデーション『麺屋利八』
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永谷和樹
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