シャチの大ジャンプやシロイルカとトレーナーの共演、観客の目の前までやって来るセイウチ――。海獣パフォーマンスは、水族館ならではの迫力と感動を味わえる花形イベントだ。
海獣とは、イルカやアシカ、セイウチなど海に棲む哺乳類のこと。拙著『中村元の全国水族館ガイド129』でも海獣展示やショーが充実した水族館を数多く紹介しているが、本稿では大人がハマる海獣パフォーマンスが魅力の水族館を厳選して紹介したい。
海獣の魅力が光る水族館。海の動物たちは人に興味津々
水族館で出会う海獣たちはどれも人なつっこく、こちらをのぞき込むことも多い。それは自然の海でも同様で、野生のイルカやアシカの仲間たちは人を恐れることなく近づいてくるし、時には遊びに誘ってくることもある。
そんな異種とのコミュニケーション好きで遊び好きな性質を、象徴的に見せているのが水族館の海獣パフォーマンス(海獣ショー)だ。
筆者の『中村元の全国水族館ガイド129』では、水族館の満足度を6項目で評価しているが、そのうち2つ目を「ショー」、3つ目を「海獣度」とし、重視している。
本稿では、「ショー」と「海獣度」の両面で際立った魅力を持つ水族館5館を紹介したい。
鴨川シーワールド・須磨シーワールド/巨体が宙を舞う! シャチのパフォーマンスを関東・関西で体感
水族館の海獣の中でもシャチは別格だ。その巨体による迫力はもちろん、トレーナーとの絆が心を打つ。
そんなシャチのパフォーマンスを日本で初めて公開したのが、鴨川シーワールドだ。そして2024年には関西にも進出し、須磨シーワールドが誕生している。これにより、東海地区の名古屋港水族館を含め、シャチのパフォーマンスを見られる機会は以前より広がった。
両シーワールドのシャチのパフォーマンスは、誰もが文句なしに感動し楽しむことができる。ただし、もっと楽しみたいなら、シャチの大波シャワーを体験したい。
プール近くの席からなら、シャチのジャンプを下から見上げることができるだけでなく、シャチが起こす大波をたっぷり浴びることができるのだ。
服のまま海に飛び込むくらいずぶ濡れになるが、これがまた楽しい。着替えを準備して出かけよう!
鴨川シーワールドは日本における海獣パフォーマンスの老舗ともいえる存在で、イルカなどの鯨類だけで3つの異なるスタジアムを有している。なかでも、長い間世界唯一だったシロイルカの水中パフォーマンスは見逃せない。
他の鯨類のようにジャンプをしないシロイルカのために開発されたショーで、白い巨体が水中で自在に動く様子は日本舞踊のように優雅だ。
シロイルカのエコーロケーション能力を実験したり、得意のバブルリングを見せてくれたりするのだが、それらが披露される間、何よりも水中にいるトレーナーとの完璧なコミュニケーションに感動するだろう。
トレーナーの合図に応えるように頷いてみせるシロイルカの表情には、種を超えて愛おしさを感じる人が続出することだろう。
伊勢シーパラダイス/泣き出す子どもが続出! 「柵なしゼロ距離ショー」の衝撃
柵のない広場、観覧者の目の前にやってきたセイウチが長い牙を振り回し、巨大なトドが歯をむき出して吠えながら息を吹きかける。その半端ない迫力は大人の心を興奮させ、好奇心旺盛な子どもたちをもビビらせる。
そんな柵なしショーを世界で初めて開発し、今もさらに進化を止めないのが伊勢シーパラダイスだ。
人との接触が長らくなかった地域に生息しているヒレ脚類(アシカやアザラシの仲間)は、人を見ても逃げず、襲ってくることもない平和な生き物だ。その平和な性質があるからこそ成り立ち、野生のヒレ脚類のおおらかさを実感できるのが、このゼロ距離柵なしショーである。
セイウチのショーの後にある、セイウチと一緒にスマホ撮影できるイベントはいつも長蛇の列。ショーの最後には観覧者の中から1人だけ、セイウチにお尻をひっぱたかれる「闘魂注入! 厄落とし」をやってもらえる。
伊勢シーパラダイスの柵なしスタイルはヒレ脚の仲間にとどまらない。イルカプールではイルカがボールを投げてきて、キャッチボールをしようと誘うし、館内をペンギンが歩き回るなど、柵なしが満載の水族館だ。
中でもツメナシカワウソと握手できるイベントは、カワウソの餌探し行動を目の当たりにできるパフォーマンスとして開発されたのだが、たちまち人気沸騰! 一気に全国の水族館や動物園に広がった。
ヒレ脚の柵なしショーもカワウソと握手も次々に真似されているが、伊勢シーパラダイスは意に介さず、新たなゼロ距離スタイルをさらに開発。コツメカワウソでは別の方法での握手、魚のトビハゼが手のひらに置いた餌を食べてくれるイベントなど、常に増え続けている。
どれもが大人が夢中になれるイベントばかりなので、時間に余裕を持って訪れたい。











