介護中のご両親がいる方へ
最後に、現在介護中のご両親がいる方へ、『最高の最期』より一部抜粋してお届けします。
お別れの時が近づいているとき、ご家族にできることは何でしょう。みなさん、何かをしてあげたいけれど、どうしてあげればよいかわからない、とよくおっしゃいます。
ひとつは、時間の許す限りで良いので顔を見に行ってあげてください。長時間の面会は疲れるかもしれませんが、短時間であれば何度でも会いたいものです。
「会いに行ってもずっと寝てるんですよ」
「私のことが誰かわかっていないようです」
と言うご家族もいます。でも、それでも良いのです。ずっと寝ていても(寝ているように見えても)温かい気持ちや声は伝わっているものです。
会いに行ったら、優しく声をかけてください。歌を歌ったり、思い出話をしてあげてください。感謝の気持ちを伝えたり、大好きだよと言ってあげてください。
難聴でも、聞こえていなくても、です。たとえ返事がなくても、目を開けてくれなくても、音楽や言葉を聞いたとき、脳は元気だったころと同じような反応を示しているという研究結果もあります。
そして優しく手や足を触ってください。
「眠っているのに、触って起こしたら可哀そうですか」
と言われますが、気にせず、触りたいと思うなら触れてあげてください。包み込むようにそっと手を握るだけでも良いのです。
触る、という行為は生き物にとって愛を伝える最も原始的な方法です。皮膚感覚は死の間際まで残っていて、触れることによって痛みを緩和したり、幸せな気持ちを呼び起こすと知られています。何をするのでもなく、ただ黙って横に座り、手を握ってあげてください。
人は必ず死にます。そしてその死に際し、私たちができることは、ただ同じ時間を共有し、そっと寄り添って見守ることだけです。じたばたせず、残された時間をどうぞ大切にしてください。
3回にわたり『最高の最期』の内容について紹介しました。紙面では、Web版では収まりきらなかったエピソードや背景などもさらに詳しく描かれています。ご興味のある方は、ぜひ本紙もあわせてお手に取ってみてください。
あなたの最高の最期のために、ぜひ読んでもらいたい2冊をご紹介!
最高の最期 死ぬって意外に難しい
最高の介護 介護のお医者さんが教える満点介護!
田口 真子(Mako Taguchi)
神戸大学医学部卒業。循環器専門医として複数の病院に勤務した後、2004年カネディアンヒル介護老人保健施設(老健)の施設長となり、介護が必要な高齢者を日々診察している。5老健を含む13の介護系施設を運営する医療法人社団創生会理事長。ブログ「介護のお医者さん22年目! 介護とうまくつきあっていこう」が高齢者福祉・介護ブログ村ランキング1位。






