そのまま飲み干したくなるダシの効いたツユに、つるりとした食感と噛み心地のよいうどん。すする度に感じる爽快感は、まさに夏のご馳走だ。シンプルな組み合わせの中でこそ光る、職人の技やお店のこだわりにも注目です。
伸びやかな太麺と澄んだダシが響き合う駅直結の涼味の傑作『手打うどん いわしや 青山一丁目店』@青山一丁目
料理の味は見た目に宿ると言うけれど、冷やかけの景色をまずはとくとご堪能あれ。丼にたっぷり注がれたツユは見事なくらいに澄んでいて、そこから引き上げた麺は光を受けて艶めいている。すーっと鼻を抜けるダシの香りに誘われるように、いざご対”麺”。
ひやかけ750円
なめらかな肌が唇や舌をなでゆく快感にハッとしつつ、噛めば膨らむ小麦の甘みと香り。讃岐らしい剛麺だけどコシは強すぎず伸びやかだ。返す刀でキンと冷えたツユをすすると、まずやってくるのは素朴な煮干しの風味。
食べ進むうち温度が上がってくるとグラデーションのように昆布の旨みが立ってくる。夏の暑さだって、この一杯を味わうための引き立て役。駅直結の好立地にこんな名作がひそんでいようとは!
それもこれも、粉は練ってから踏み込み、2日間の熟成。加えて茹でにも注力し大釜の中で気持ちよく泳ぐようにと店長・佐藤信哉さんはじめ職人達が一丸となって丹精こめた賜物だ。この麺を直球で味わうなら生卵と香川の醤油だけで食す「冷玉」も見逃すな!
店長:佐藤信哉さん「薬味コーナーに揚げ玉や白ネギを用意。ご自由にどうぞ」
[店名]『手打うどん いわしや 青山一丁目店』
[住所]東京都港区北青山1-2-3青山ビル地下1階
[電話]03-6812-9822
[営業時間]11時~19時※土は~14時
[休日]日・祝
[交通]地下鉄銀座線ほか青山一丁目駅0番出口直結
圧力釜で茹でたもっちりな麺を関西風のツユで食す『うどん ゆかせ』@春日
ちょうど1年前にオープンしたこちらの店主は、少し前までは誰しもあっと驚く経歴のエリート金融マン。スーツを華麗に脱ぎ捨てこの業界に飛び込んだ。理由はいたってシンプルで「うどんが好き」。中でも特にお気に入りが讃岐。
香川の製粉会社から取り寄せる粉をやや低加水にして水回し。しっかり捏ねてグルテンを鍛えた後、2回に分けて熟成させ、圧力釜で茹でる。冷水でキリッと締めた麺に挑めば、密度の高い小麦粉の重量感はありつつも、コシに固さはなく、もっちりしなやかな表情だ。
かけ(冷)390円
そこに合わせる冷やかけのツユは自身が大阪出身ということもあり関西風。カツオと昆布を基本にうるめイワシやサバ節も使い、薄口醤油のカエシで味を立たせる。これほどの手間ひまと、たくさんの天然素材を一杯に詰め込んで、某チェーンより安い390円で出すのだから、春日の良心と言っていい。
一方のぶっかけは大分のカトレア醤油を主体にしたツユで食べさせる。このソリッドな組み立てゆえに麺の旨みも香りもストレートに伝わってくる。
[店名]『うどん ゆかせ』
[住所]東京都文京区小石川1-15-12中銀小石川マンション106
[電話]非公開
[営業時間]11時~14時LO
[休日]日・祝
[交通]都営三田線ほか春日駅A5出口から徒歩4分
地元の集い場…実直なうどんの味と豊富なつまみに酔う『四ツ木製麺所』@立石
現在70歳になる店主の守田良一さん。銀座のうどん屋の店長から始まり、20代後半で独立。その後四ツ木で製麺所を立ち上げ、縁あって12年前に隣町の立石で再びこの店を始めることに。半世紀近い仕事人生のほとんどを、うどんに携わってきた職人なのだ。
そんな彼が打つのは讃岐風。ツルッとなめらかな表面の口当たりから歯を押し返してくるような強いコシがある。噛むほどに素朴な小麦の風味も膨らんで、数種類の魚介節を合わせた力強いツユが、それをきっちり受け止める。飾り気はない。けれども狙っても作れっこない実直な旨さにいっぺんで胃袋をつかまれた。
冷かけ490円+きつね200円
また定番の他にも関西でお馴染みの油かすを使った「かすボナーラ」やその時々で小松菜を練り込んだ変わり種も。
「お客さんが食べてみたいっていうからさ」と話す表情は朗らかだ。
さらに土地柄ゆえに豊洲から届く刺身に珍味、気の利いた惣菜などなど、つまみもちょっとした居酒屋レベルに揃っていて夜や週末は立石を愛する飲んべえの集い場にもなっている。
店主:守田良一さん「持ち帰り用の生うどんもお土産にぜひ」
[店名]『四ツ木製麺所』
[住所]東京都葛飾区東立石2-11-7
[電話]03-5670-7610
[営業時間]11時半~14時半、17時半~21時(20時15分LO)、土・日:11時~20時(19時15分LO)、祝:11時~19時(18時15分LO)
[休日]月・火
[交通]京成押上線京成立石駅から徒歩9分






























