夕暮れがなんとも心地いい季節。秋は食事やお酒のみならず、時間までもを存分に楽しめる“カフェ”が絶妙な気分です。例えば夜空を眺められる空間や、じんわり沁みいる音楽、自在な使い勝手もうれしくてそこにいるだけでなんだか幸せ……。そんな東京の「夜カフェ」をご案内します。
空と緑、音楽やアートが交わる銀座の屋上空間『月のはなれ』@銀座
階段を5階まで上りきると、まるで別世界だった。
ふいに銀座の空が現れ、秋風吹き抜けるルーフトップテラスに迎えられる。顔を上げれば、星にだって月にだって手が届きそう――。
ここは1917年創業の老舗画材店『月光荘』が営むサロン。3代目の日比康造さんが、約14年前に屋上の画材倉庫をリノベーションしてオープンさせた。
「いろんな価値観の交差点でありたい」。
毎夜楽しめるジャンルを問わない生演奏、2週間ごとに変わる壁面アート、客席での自分の姿を画家が描いてくれるアナタスケッチ、メニューのお絵かきセットを頼めば絵も描けちゃう。
雑多で、自由で、文化的な香りに満ちていて洒脱。楽しいったらない!
『月光荘』は、与謝野晶子ら文化人と交流があったという日比さんの祖父が生みの親。そんな歴史ある唯一無二の空間に身を委ねれば、時を超えて繋がる想いが伝わってくる。
なんてあれこれ述べたが、ここでは思い思いに遊ぶのがよき。
料理は、店主ゆかりのニューオリンズがベース。ガンボやジャンバラヤなど、フランスやアフリカ移民の文化が混ざり合ったクレオール料理が楽しめ、飾るところなく、なんとも温かい。
ムール・フリット(2人前)ポテトフライ付き 3800円、グラスワイン 900円~
心地よい音に耳を傾けながらの一杯は、オリジナルカクテルや、蔵前の人気ロースタリーによる珈琲だっていい。さらには手製スイーツも堪能できたりする。
ああ、いい秋の夜だ。ここでの時間がきっと、月のように心を照らしてくれる。
店主:日比康造さん、副店長:和島ひかりさん「楽しいひと時を。いつでも遊びにいらしてください」
[店名]『月のはなれ』
[住所]東京都中央区銀座8-7-18 月光荘ビル5階
[電話]03-6228-5189
[営業時間]営17時~23時(22時LO)、日・祝14時~21時(20時LO)
[休日]月
[交通]地下鉄日比谷線銀座駅B3出口から徒歩8分、地下鉄銀座線新橋駅3番出口から徒歩3分
ボサノヴァやジャズに耳を傾けブラジル料理も!『KAKULULU(カクルル)』@東池袋
覆い茂る緑の間から、ぽっこりと温かな灯りが見えた。お、営業中だ。
モッコクの木があり、蔦にすっぽり包まれた三角形の建物が『KAKULULU』。カクルル、隠るる、隠れる……秘密めいた屋号と佇まいに、胸が高鳴る。
訪れた時、店内にはジャズとボサノヴァが柔らかく流れていた。音楽の仕事に携わり、自身もボサノヴァを奏でていた店主の高橋悠さんは、若い頃、ブラジル音楽とそのミックスカルチャーにハマったという。
ブラジルを感じさせるメニューがあるのはそれゆえ。ココナッツベースの魚介シチュー「ムケッカ」なんて、やさしいコクにあふれていて美味。
ムケッカ 1950円(ランチはサラダ・ドリンク付き)
廃墟状態だった元新聞販売店をコツコツとリノベし、店を開いて13年。
2階は壁一面が本棚で、愛蔵のレコードや書物が並び、ピアノも鎮座。壁掛けCDプレイヤーで音楽を聴くこともできるし、不定期ライブも開催。
「2000年代のカフェブームって自由度が高く、何でもありだった。あのワクワクする感じが好きで」。
地下のギャラリースペースは月1で整体サロンになったりもする。面白い。変幻自在な大人のアジトだ。
店主:高橋 悠さん「余白にいろんな要素を足しながら13年目です」
[店名]『KAKULULU(カクルル)』
[住所]東京都豊島区東池袋4-29-6三角ビル1・2階
[電話]03-6907-0652
[営業時間]11時半~21時(20時LO)、火~17時(16時LO)、水~16時(15時LO)
[休日]月・日・祝
[交通]地下鉄有楽町線東池袋駅6・7番出口から徒歩2分

































