令和8年も、国内はもとより海外へと慌ただしくご公務をこなされた皇室の方々。その移動につきものなのが、鉄道の旅、空の旅だ。かつて昭和天皇は、お召列車での移動を大変楽しみにされていたという。よほどの遠距離移動ではない限り、鉄路を乗り継ぎ、地方ご訪問へとお出かけになられていた。利便性の向上とともに、時間軸がぎゅっと縮まりつつある昨今。令和の皇室の方々の鉄道の旅、空の旅とは、どんな手続きを経て行われているのだろうか。
※トップ画像は、神宮御参拝などのため、近鉄特急で宇治山田駅に到着された愛子さま=2026年8月1日、三重県伊勢市、写真/JLNA(代表撮影)
鉄道のご利用はどのように行われているのか
皇室の方々の鉄道利用は、ご公務先の道府県が策定するスケジュールに合わせて、そのご利用区間を選定しているという。昭和の時代までは、国鉄(日本国有鉄道)の路線に限り皇室の方々は御身位によって無賃(無料)で乗車することができた。国鉄がJRとなって以降は、相応の運賃・料金を支払っている。ただし、私鉄へのご乗車は、明治の時代から皇室のどなたであろうと、運賃・料金を支払うのが慣例であった。ちなみに皇室の方々は、鉄道会社が定める旅客営業規則は国鉄当時からの慣例で適用外となり、団体割引などは適用されない。
乗車する列車の時刻や号車などは、警備や護衛の都合上、公にされないが、乗車日や乗車区間は、私的行事を除き公表の対象とされている。天皇、皇后両陛下、上皇、上皇后両陛下の場合、お召列車といって専用の臨時列車を仕立てて乗車される。この手配も宮内庁が行う。平成の一時期ではあったが、臨時に仕立てた特急列車に、一般の乗客も号車は違えど乗ることができた。昭和天皇の時代にも、お召列車として運転する新幹線の一部を一般客や、修学旅行の生徒らに開放したこともあった。これを関係者の間では「混乗」と呼んだが、現在は警備や護衛上の理由から、こうした措置はとられていない。
皇太子の御身位にある秋篠宮皇嗣同妃両殿下の場合、臨時の列車を仕立てることはなく、日常的に運行される新幹線などの列車の座席の一部を借り上げて、ご乗車になられている。親王、内親王の御身位にある愛子さま、佳子さま、悠仁さまも同様の措置がとられる。とはいえ、鉄道会社側の配慮なのか、乗車する車両内の座席は一般発売されないことが多い。
相当昔の話だが、VIPが乗車する車両に一般客を乗せるのはどうかと、私服の警察官を一般客のように見せかけて乗車させたことがあった。その際、関係者には指定席券が配られたのだが、欲をかいた関係者のひとりが、こともあろうにその指定券を小遣い稼ぎに払い戻そうとして、大問題になったことがあったという。
2026年(10月まで)の乗車履歴
天皇、皇后両陛下は、この10月までの間に東海道新幹線に(片道を1回としてカウント)1回〔9月/名古屋→東京〕、天皇陛下おひと方で2回〔10月/東京~名古屋・往復〕、東北新幹線に両陛下で2回〔4月/東京~福島・往復〕で、計5回乗車された。愛子さまは、東海道新幹線に3回〔8月/東京~名古屋・往復、9月/米原→東京〕、東北新幹線に3回〔4月/東京~福島・往復、7月/那須塩原→東京〕と、近鉄特急に2回〔8月/近鉄名古屋~宇治山田・往復〕の計8回乗車された。
秋篠宮皇嗣同妃両殿下も、東海道新幹線に14回、秋篠宮皇嗣殿下4回、秋篠宮皇嗣妃殿下6回、佳子さま10回、悠仁さま4回で、東北新幹線には秋篠宮皇嗣殿下4回に悠仁さま2回と、秋篠宮家として計44回乗車されている。宮家(常陸宮家、三笠宮寛仁親王妃家、三笠宮家、高円宮家)の方々も、様々な場面で新幹線や在来線等に乗車されているが、その合計回数は50回を超える。




