皆さんは「家計簿」を手にとったことがありますか?デジタル全盛の今、もしかすると見たこともない方も少なくないかもしれませんが、実は紙であることの良さが見直されてきています。今回は、お料理好きの方々に大人気となっている『お料理家計簿』の担当編集者がその魅力を紹介します。
そもそも「家計簿」って?その歴史と現在も愛される理由
家計簿とは、その漢字の通り家計を記す簿(=冊子)のこと。そして家計は、内閣府によると「世帯における収入・支出・貯蓄の状況」です。
日本における近代的な家計簿の始まりは明治〜大正時代にまでさかのぼり、これまで1世紀以上に渡って「節約の計算帳」だけではなく、毎日のやりくりを通して家族の暮らしを快適に整えていく「生活の記録」として活用されてきました。つまり「お金の記録」から「暮らしを守る記録」へと役割が増してきたと言えます。
現代では、日々の支出をスマホの家計簿アプリでサクッと自動で管理している人も多いことでしょう。しかしその一方で、手書きで記録をつける「紙の家計簿」ならではの魅力を知る人も多く、今でも秋から冬にかけて、多くの人が新年度に向けた一冊を書店などで買い求めています。これほどデジタル化が進んだ現代で、なぜ紙の家計簿はいまも愛され続けているのでしょうか。
脳と心が整う!手書きで向き合う「家計簿ジャーナリング」の効果
「紙の家計簿」の魅力としてひとつ考えられるのが、最近注目を集めている「ジャーナリング」。紙に文字を書くことで思考や気持ちを整理する行為を意味します。
「ジャーナル(journal)」とはそもそもラテン語の「日」が語源だそうで、1日とか日々といった意味から日記、日誌といった言葉へと変化していったとのこと。そういえばフランス語の「ボンジュール(Bonjour)」も「いい1日」という意味ですね。
一方「ジャーナリング」はというと、1日の記録をつけるというだけではなく、先ほど記した通り考えや心を「書くことで整理する」効果にスポットライトが当たります。
「紙の家計簿」が今も多くのユーザーから愛されているのは、まさにこのジャーナリングの効果にあると言って過言ではありません。自分の手でペンを握り、今日使ったお金や食卓と向き合う時間は、1日を静かに振り返る心地よいリセットの時間になります。
スマホで入力を済ませるデジタル管理は便利ですが、画面をタップするだけでは感情や思考の整理にはつながりにくく、後から振り返る機会も減りがちです。「今日何にお金を使ったか」「どんな食卓だったか」を自分の手で紙に書き記す行為は、慌ただしい日常から少し離れて、自分自身と静かに向き合う時間になります。
ちなみに、この「手書き習慣」には医学的にもありがたい効果があります。認知症予防医の広川慶裕先生は、2025年家計簿の「脳活」特集で以前取材でお話しをお聞きした際、「家計簿は、脳トレの一環としてもとてもいいものです。短時間でも毎日できて、長く続けられる家計簿は、優れた脳トレーニングになります」と話されていました。
毎日の収支を振り返り、ペンを動かして計算や記録をする一連の動作が、脳のワーキングメモリ(作業記憶)や前頭葉を刺激し、それが手軽ながらも優れたセルフケアに―。お金の管理をしながら、自然と脳を若々しく保てるというわけです。




