「ハプニングラーメン」-この名前だけ聞いても、何が出てくるのか、何が起きるのか、まったく想像がつかない。でも、実際の中身を知るとなんだかじんわりとあたたかい気持ちになる。福島県須賀川市で9月20日に開催されるのは、認知症の方々が接客し、時には起きるかもしれないハプニングをみんなで受け入れて一緒に楽しむインクルーシブなイベントだ。
「間違えてもいい」を当たり前にする、一杯のラーメン
福島県須賀川市の須賀川牡丹園・牡丹会館を会場に開催される「ハプニングラーメン」。イベントで店員を務めるのは、グループホームや在宅で暮らす認知症の方たちだ。来店客から注文をとったり配膳したり会計したりと接客をする中では、何かを間違えることがあるかもしれない。でもそれでOK。むしろ、そのハプニングを受け入れて楽しむことがこのイベントの一番の目的だからだ。
主催するのは、2000年から同地で認知症の方の介護支援を続けてきたNPO法人の豊心会。翌9月21日が「世界アルツハイマーデー」に制定されている「認知症の日」であることから、その前日に毎年開催している。2024年に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」の目標、つまり認知症でも安心して暮らせる社会を、地域の食の場で体現しようという試みだ。
メニューは醤油ラーメン(900円)、冷やし中華(1000円)、杏仁豆腐(200円)、究極の卵かけごはん(350円)の4品。提供数は限定130食で、うち80食は事前予約、50食は当日受付(11時〜12時)となっている。予約受付はすでに始まっており、締め切りは9月11日だ。
豊心会では、小さな間違いやすれ違いが実は人と人を結びつけ、お互いを助け合うきっかけになるとの考えから、同イベントに「ハプニングからハッピーへ」の思いも込めているとのこと。そして、店員やボランティアの参加者も募集していて、店員は「元気な120歳までの人」であれば「未経験でも大丈夫」とのこと。
たしかに、少子高齢化の日本においては、認知症や障がい、高齢などの理由でこれまでは「保護」する対象となりがちだった方々も社会の担い手として活躍してもらえるようにする必要があるのは自明。
視点を変えると、インクルーシブや共生型社会といった言葉は健常者や現役世代にとって「してやる」ものに感じられるかもしれないけれども実際には自分たちのためでもあるということだし、というかそもそも自分や家族も老いていくし、突然脳梗塞などによって手足が動かなくなることだって十分あるわけで。要するに、否が応でも「自分ごと」なのです。
ということで、この記事が目に触れたということはおとなの週末Webのコンテンツが届きやすい、きっと食べることが大好きな方のはず。お近くにお住まいであれば、認知症の方が「社会に生きている」と感じられる場所を食事を介して作り出す、そんな温かい昼どきを体験しに須賀川まで足を運んでみてはどうだろう。