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多彩な具材と冷水でキュッと締められた蕎麦。そこにやや濃いめの冷たいツユを回しかける。そしてそれらをしっかり混ぜたら勢いよくすするべし。蕎麦とツユ、そして具材の旨みが絡んだ味わいは、涼やかさと満腹感を同時にもたらすこと、必至!

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端正な蕎麦に彩りを添える具材の楽しさ『手打ち蕎麦 銀杏』@西大島

昼下がり、吹き抜けの高い窓から木漏れ日がゆらゆらと器に降り注ぐ。ひんやり冷たい蕎麦の上で気持ちよさそうに寄り添うのは、ころころの揚げもちにみょうがとおかか、そして長ねぎと品のいいやっこねぎ……ああ、何て涼しげ。

端正な細打ちと多彩なトッピングの食感が味わいにリズムを生んで、上品なツユが全体をまとめるこの店の看板「銀涼そば」だ。

銀涼そば1980円

『手打ち蕎麦 銀杏』銀涼そば 1980円 揚げもちはもちもちの食感。先代の女将さんが考案した通年提供の看板品

店はもともと福井出身の初代が始めた町蕎麦で、2代目が手打ち1本化にして屋号も変え、現在は3代目が歴史を繋いでいる。蕎麦の実は農家の考えや栽培法でも味が変わるため、産地でなく生産者で選び、埼玉など数か所から仕入れるそう。

丸抜きの微粉に粗挽きを加えた基本の二八はしなやかな弾力で香り高く、その清冽な旨さは「定番だからこそ誰にも負けない二八を打ちたい」という3代目の志の表れだ。

見目が映える蕎麦も揃えるが、最近は「シンプルな味で勝負」と原点回帰。素材を知り、旨さを追求するため生産者を訪ねて畑仕事も手伝っているとか。

そのひたむきな姿勢を感じるひとつが夏の「しそ切り」。更科の白に散る青じその風味が実に爽やか、一気に涼を運んでくる。

店主:田中佑介さん「十割や産地別食べ比べも。海外にも蕎麦を広めたいと思っています」

『手打ち蕎麦 銀杏』

[店名]『手打ち蕎麦 銀杏』
[住所]東京都江東区大島2-15-3
[電話]03-3681-9962
[営業時間]11時半~14時半(14時LO)、17時半~21時(20時半LO)
[休日]火、月は不定休※月・火が祝日の場合は営業で翌水休
[交通]都営新宿線西大島駅A2出口から徒歩5分

静かな感動がじわりと染みる楚々とした味わい『そばと酒 えもり』@代々木上原

料理の印象は店主のお人柄と同じだなぁと感じることがあるが、この店もそう。上品でおだやか。楚々として潔い。何せ品書きに蕎麦の華であるエビの天ぷらも鴨もない。山形の実家がお寺ということもあるからだろうか、基本的に肉や魚の料理はなく、野菜中心の味で楽しませてくれる。

「揚げなすの冷やし蕎麦」はとろんと甘い果肉のなすが目にも涼やか。和食の翡翠煮をイメージしているそうで、ひと手間もふた手間も掛けた美しく繊細な仕立ては日本料理の名店でも腕を磨いた店主ならではの仕事だろう。

揚げなすの冷やし蕎麦1400円※9月末頃まで

『そばと酒 えもり』揚げなすの冷やし蕎麦 1400円 ※9月末頃まで ダシで炊いた長なすはとろっとした食感。蕎麦の実は現在群馬産を使うことが多く、石臼挽きの丸抜きを微粉で打つ。大葉やみょうがなどの薬味がいいアクセント

一方「辛味大根と焼きのりのおろし蕎麦」は一面に敷き詰めた漆黒の海苔に辛味大根を効かせた粋な味。食べ進めるほどに磯の風味がツユに溶け込み、これまた滋味深き趣である。

蕎麦は十割。「飲んだ〆で食べる味」を意識して打つとかで、理想はなるべく細く、のど越しよく。するりと舌をすり抜ける気持ちよさにじわじわと心も整っていく。

お酒は全て故郷の酒屋から。器は骨董や作家物。酒肴も蕎麦も店の風情も、禅の心に通じるかような静かな感動と余韻がある。

店主:榎森俊司さん「夜は予約制で6050円のコースのみ。野菜中心の味を揃えています」

『そばと酒 えもり』

[店名]『そばと酒 えもり』
[住所]東京都渋谷区元代々木町10-10
[電話]03-3469-7422
[営業時間]12時~14時(早じまいあり)、18時~21時※夜は予約制のおまかせコースのみ
[休日]水、ほか不定休
[交通]小田急線代々木上原駅・代々木八幡駅から徒歩5分

圧倒的なナスの存在感に笑みがこぼれる『いさ美庵』@大森

普通に、淡々と。店主の山田忍さんが取材時に何度も口にしたのがこの言葉。

考えてみれば蕎麦は江戸から続くファストフード。今や高級店も増えたけど、つまみも酒も安くて気取らず、普通に旨い店の何と有難きことか。

昭和34年の創業時は出前中心の蕎麦屋で、30年ほど前に父から継いだ際に手打ちに切り替え、出前も止めたそう。ご本人は普通と謙遜するが、老舗の名店で修業した確かな腕は食べれば明快だ。

胃袋を鷲掴みにされたのが夏の人気「冷やし茄子そば」。揚げ浸しの見事ななすがドドンと1本半。はむっと歯を入れるとダシをたっぷり含んだ旨みのジュースが口中にほとばしる。やや平打ちでコシのある二八と相思相愛、九条ねぎや生姜などの薬味も名脇役……いやぁ旨いわ。

冷やし茄子そば1320円※提供は9月中旬頃まで・1日10食限定

『いさ美庵』冷やし茄子そば 1320円 ※提供は9月中旬頃まで・1日10食限定 素揚げにしてダシに浸し、冷蔵庫で冷やした長なすが1本半。見た目は素朴だが、味が染みやすいようさいの目に包丁を入れるなどさりげない仕事。蕎麦はのど越しもいい

なすは長くて太いものを築地で厳選、天ぷら等に使う魚も豊洲まで買い付けに行く。わざわざ、週に数回。

「いい物を仕入れるためというより、自分で見て選ばないと納得いかないんですよね(笑)」。

それを普通と言うのなら、ここは最高にカッコいい普通の町蕎麦です。

店主:山田忍さん「旬素材の天ぷらも人気。なるべく価格を押さえるように心掛けています」

『いさ美庵』

[店名]『いさ美庵』
[住所]東京都品川区南大井6-20-18
[電話]03-3761-1719
[営業時間]11時~14時、17時~20時最終入店
[休日]月・日・祝※8月は土も休
[交通]JR京浜東北線大森駅北口から徒歩5分
※現金のみ

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明治から続く老舗が仕掛ける夏を彩る風物詩『茅場町 長寿庵』@茅場町
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『おとなの週末』編集部
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