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定食屋使いで楽しみたい 町蕎麦の名店(1)-カツ丼編-

定食屋使いで楽しみたい 町蕎麦の名店(1)-カツ丼編-

端正な蕎麦だけが蕎麦屋の魅力ではない。蕎麦だけでなく丼ものやカレーなんてのもしみじみ旨い懐の深さ。そんな肩肘はらず、定食屋使いができる町の蕎麦屋を集めてみました。ここではカツ丼が美味しいお店をご紹介します。

perm_media お店の雰囲気も見られる、町蕎麦のカツ丼を画像でチェック!! navigate_next

『朝日屋』@中目黒

“いつもの”カツ丼が とびきり旨い ナカメの人情蕎麦屋

カツ丼(小鉢そば付 950円)
カツ丼は見た目こそ奥ゆかしいが、グイっと押し寄せる割り下のコクは力強い。しっとり吸い付くような肉の食感は、吟味した国産豚の功労か。蕎麦は更科系の上品な細目。甘辛いが濃すぎないツユが絶妙

中目黒の住宅街で出合った、知る人ぞ知る一軒。

『朝日屋』の創業は昭和8(1933)年。3代目の光宏さんが帳場でそろばんを弾く姿が、音が、変色した壁や柱が、歴史を重ねた渋みを醸している。

「このあたりも昔はごく普通の商店街でしたが、個人店はほんの数軒になっちゃってね」。
周囲がどれほど変化しても、食材を目利きし、丁寧にダシをとり、蕎麦を打つ姿勢は変わらず。「カツ丼」の真っ当な美味しさは、言葉に尽くし難いほどだ。

そして隠れ名物が「ぬか漬け」。女将が50年(!)育て続けたぬか床で漬けるのだから、その価値はプライスレス。

場所柄、業界人風の常連も多いが、誰しもが“いつもの食堂”を求めてやってくる。

お新香(ぬか漬 500円)
50年モノのぬか床を所有する家庭はあれど、店で食べられるチャンスは希少。こちらの盛り合わせで、心ゆくまで味わって

左:女将 後藤和子さん 右:3代目 後藤光宏さん

[住所]東京都目黒区東山1-28-11
[電話]03-3713-5075
[営業時間]11時半~20時
[休日]木
[交通]東急東横線中目黒駅中央改札口から徒歩10分

『蕎麦処 丸花』@錦糸町

錦糸町で120余年 老若男女の心を満たす正統派ヒレカツ丼

かつ丼セット(1000円)
割り下のツユは本節、宗田節、サバ節の3種類からダシをとったやや甘辛口。とろとろの卵と共に、香ばしく揚げたヒレカツを包み込む。サラダ、お新香、味噌汁、小蕎麦付

明治初頭から120余年続く老舗。伝統を守り真摯に蕎麦を打つストイックな面と、包容力を併せ持つ店だ。

ここはヒレカツ丼もめっぽうイケるとの評判を聞き、訪れた日曜の午後。そこには競馬中継に血沸き肉躍る(?)光景が! こりゃ“勝つ丼”の旨さもひとしおだ。

平日夜は本を片手に過ごすひとり客もちらほら。この日はカツ丼とじっくり対峙。このヒレカツ丼、いいなぁ。
脂がしつこく追いかけてこないから、逆に夢中でかきこみたくなる。

「トシを取るとね、ヒレの魅力がわかるのよ」。女将の重子さんの、計り知れない母性にもメロメロです。

あじさい(1000円)
5代目和宏さん考案、女性人気バツグンのひと皿。冷やし蕎麦に小エビの天ぷらやレタスをたっぷり盛ってサラダ仕立てで。自家製ゴマダレが後を引く

右:5代目 茨 和宏さん 左:女将 茨 重子さん

[住所]東京都墨田区江東橋3-6-8
[電話]03-3631-4423
[営業時間]11時~21時(20時半LO)
[休日]火
[交通]JR総武線ほか錦糸町駅南口から徒歩4分

実力を知りたければ まずはカツ丼を頼め!

“蕎麦屋のカツ丼”に心ときめかずにはいられない。私にとって蕎麦屋はカツ丼を求めて向かう食堂であり、その際、蕎麦は脇役である。人生で数多のカツ丼を食べ歩いたが、蕎麦屋のカツ丼こそ至高だと思っている。

なんて言うと「餅は餅屋。とんかつ屋のほうが上ですよ」とおっしゃる方もいるだろう。しかし聞いてほしい。近所にある蕎麦屋の外観を思い浮かべてほしい。大半の店の前に、出前用のバイクや自転車が置かれていないだろうか。

「町の蕎麦屋はね、ご近所さんに出前してナンボの商売です」。中目黒の住宅街にある『朝日屋』は、多い日は7割が出前だそう。“てんやもの”をとるとなれば、伸びやすい麺よりご飯ものがいいかなぁ、となる人も多いだろう。
つまりカツ丼をはじめとした丼物の実力こそが、店の繁栄を証左するのだ!

……と言うのが私めの持論だが、素直に美味しいから好きなんです。和ダシの利いた割り下の旨みは、ツユが命の蕎麦屋だから出せる味。なせる技。

カツ丼は、蕎麦屋で食うに限る!

撮影/小島昇(朝日屋)、石井明和(丸花) 取材/林匠子
※店のデータは、2020年12月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
このグルメ記事のライター
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