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“いきなり”客が来ても、“いきなり”作って出せる

長寿庵のいきなり団子

いきなり団子は、輪切りにしたサツマイモと小豆の餡を小麦の生地に包んで蒸した伝統の和菓子です。突然(いきなり)の来客があっても、すぐ(いきなり)に作って出せる……。これが、名前の由来と言われています。

熊本市のホームページには、「熊本では昔から一般家庭でも作られ続けている」との説明がありました。熊本市の職員に聞いたところ、「とてもありふれた和菓子。家庭でも作ったことがありますよ」と話してくれました。手軽に食べられ、腹持ちも良いことから、世代を問わず、愛されている名物です。

昔は餡が入っていなかった

熊本市内のいきなり団子専門店「長寿庵」の担当者によると、もともとは熊本県北部で食べられていたらしいとのこと。現在では、県庁所在地の熊本市内に、20軒ほどもいきなり団子を主に扱っているお店があります。

いきなり団子は、江戸時代後期にはすでにあったと伝わっているそうですが、昔は餡が入っていませんでした。「おじいちゃんやおばあちゃん世代に聞くと、『昔はあんこが入っとらんかった』と言いますね」(長寿庵の担当者)。どうやら、戦後になり、砂糖などの材料が手に入りやすくなったこともあって、現在のスタイルに落ち着いたようです。

年間を通して断トツの人気

銀座熊本館の人気ベスト3

熊本が誇る銘菓を実際に食べてみます。銀座熊本館では、冷凍されたいきなり団子が購入できます。銀座熊本館のスタッフによると、辛子蓮根などを抑え、一年を通して人気ランキングのトップ。「サツマイモの自然な甘みとホクホクした食感、そして、もちもちの生地。素朴な味わいで、安定して売れ続けています」(スタッフ)。

銀座熊本館で販売されているいきなり団子

置かれている商品は、「肥後屋」「かんしょや」「肥後ばってん堂」「長寿庵」のもの。いずれも、熊本市内の人気店です。その中から、3色味3個入りの「長寿庵のいきなり団子」(店頭価格で税込み494円)を購入してみました。箱入りなので、贈答用に買い求める客も多いとのことです。

ホクホク、もちもち 食感がたまらない

凍った状態のいきなり団子

温めるのは、電子レンジで大丈夫ですが、銀座熊本館のスタッフのアドバイスを受け、蒸し器を使いました。沸騰してから約10分間蒸します(長寿庵の説明書きより)。蓋を取ると、生気を取り戻したようなつやつやした生地が現れました

蒸し器で約10分

そのまま1個を頬張れる大きさですが、2つに切って、じっくりと味わいます。長寿庵のいきなり団子は、小豆餡の「白」、黒糖風味の「黒」、あかむらさき芋粉を使った「紫」の3色。まずは、オーソドックスな白から一口。たしかに、生地はもちもちです。こし餡は、上品な甘さ。サツマイモの自然な甘みを妨げず、両者がほどよく調和し、絶妙な味わいを生み出します。そして、なんといっても、サツマイモのホクホクした食感に心が和みます。うん、うまい!!

厚みのあるサツマイモが特徴

サツマイモは通常輪切りですが、長寿庵はブロック型。「サツマイモの芯の部分をブロックのように切り取っていますから、他社さんよりも大きめです」(長寿庵の担当者)。厚みのある形状になっているため、“ホクホク感”をより一層感じたのでしょう。とても食べ応えがありました

こし餡も、長寿庵の特徴です。いきなり団子は粒餡が主流とのことですが、長寿庵は「こし餡にすることで小豆の風味を抑え、サツマイモの味わいを引き出しました」(同)といいます。なるほど、上品な甘さの意味が理解できました。

「黒」は、沖縄産の黒糖を大量に使用。コクがあって深い黒糖の甘さが余韻を残します。「紫」は、鮮やかな紫の生地の色がきれいです。白餡なのであっさりとした味わいです。

冷凍品を蒸しても絶品の美味しさ

銀座熊本館では、「お召し上がり方」を掲示している

食べて驚いたのが、冷凍品でも作りたてのような美味しさだったことです。このことを、長寿庵の担当者に話すと、「私見ですが」と前置きした上で「いったん急速冷凍したほうが、芋と餡子と生地の三位一体のバランスが安定して、旨味が増すと思います」と教えてくれました。

銀座熊本館のレジ脇には、アツアツのいきなり団子が買えますが、これは「肥後屋」の冷凍品(店頭価格で税込み1個165円)を蒸したものです。そうとは知らずに食べた時は、作りたてと思い込んでいました。とても美味しかったです。

コロナ禍で移動が制限されている状況が続いています。冷凍品のいきなり団子は、もちろん、“お取り寄せ”ができます。自宅でぜひ味わってほしい地方の銘菓です。

「銀座熊本館」の店舗情報

銀座熊本館

1Fアンテナショップには、農産、畜産、水産加工品、菓子類、焼酎など約1500種類の特産品が並んでいます。

[住所] 東京都中央区銀座5-3-16
[電話]03-3572-1147
[営業時間]11時~19時 ※営業時間は異なる場合があります
[休日]第1月曜日、年末年始
[交通] JR有楽町駅数寄屋橋方面出口から徒歩5分、地下鉄銀座線銀座駅B9出口から徒歩1分

撮影・文/堀晃和

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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おとなの週末Web編集部 堀
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