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チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介。今回は愛知県内の食堂で食べたチャーラーのお話です。

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チャーラーを出す店は、客の地元率が高い

出張の楽しみといえば、旅先での食事。フツーならば、見知らぬ土地の郷土料理を堪能するところだが、“チャーラー”の旅の旅人である私は、出張先でも美味しいチャーラーを探してしまう

郷土料理の店は、その土地に観光や出張で来た人のためにある。例えるならば、よそから来た人をもてなす応接間だ。一方、チャーラーを出す町中華やラーメン店、食堂は、客の地元率が高い。そこで暮らす人々の生活感が伝わってくる、いわば台所のような場所。だからこそ、楽しい。

前置きが長くなってしまった。先日、出張で愛知県の中南部にある幸田町へ行ってきた。県内とはいえ、私の自宅から高速を使っても2時間近くかかる。これはもう完全に旅だ。

この日は、13時半に現場入りすることになっていた。と、いうことで、あらかじめ昼食を摂る店をリサーチしておいた。

『大幸食堂』

それが、幸田町役場の北西にある『大幸食堂』である。

今回は、町中華でも、ラーメン店でもなく、食堂。愛知県で食堂といえば、きしめんやうどんがメインの麺類食堂を指す。昭和30年代には、カレーやオムライスなどの洋食もメニューに加わり、今でいうファミレスのような存在だったらしい。

時代が平成となり、メニューを麺類や丼ものに絞り込んだ。というか、原点に戻ったのだ。『大幸食堂』にもうどんや丼ものがある。が、大半の客は「中華そば」(500円)や「焼肉麺(チャーシュー麺)」などを注文している。

「焼肉麺(チャーシュー麺)」(700円)。ロースを使ったチャーシューが10枚近くも入る

実は、私が『大幸食堂』を訪れたのは、今回で2回目

前回の訪問は、今年の1月。注文したのは、「焼肉麺(チャーシュー麺)」。“焼肉”と書いてチャーシューなのに、麺の上にのっているチャーシューは煮豚。いや、そんなことはどうでもよい。味については後ほど詳しくレポートするとして、このチャーシューの量で700円は絶対に安い

一緒に注文した「小ライス」(150円)にチャーシューをのせてミニチャーシュー丼にした

「小ライス」も注文して、ミニチャーシュー丼にして楽しんだのは言うまでもない。満たされたお腹をさすりながら、何気なくメニューに目をやると、なんと「炒飯」(700円)があることに気がついたのである。次回は絶対にチャーラーを食べると心に誓い、店を後にしたのだった。

2回目の訪問で「チャーラー」と対峙

で、今回、10ヶ月の時を経て、チャーラーにありつくことができた。

「中華そばと炒飯をください」と、告げると、「少々、お時間をいただきますが……」とのこと。周りを見渡すと、炒飯を注文している客はひとりもおらず、中華そば単品か小ライスを併せてオーダーする人がほとんど。いくら時間がかかろうが、待ちますとも。

「中華そば」(500円)と「炒飯」(700円)。食堂らしいビジュアルに食欲をそそられる

撮影・文/永谷正樹

具材は、チャーシューとメンマ、ネギ、カマボコ

まずは、中華そばから。

ご覧の通り、スープの色が真っ黒! このビジュアルを初めて見たとき、富山県富山市のご当地ラーメン、「富山ブラック」を思い出した。ガツン! と濃厚な醤油味がクセになり、富山を訪れるたびに食べている。この「幸田ブラック」ともいうべき真っ黒スープは、いったいどんな味がするのか。

おーっ! 濃いのは見た目だけで、深みのあるコクとほのかな甘みを感じる。幸田町周辺の西三河地方は、岡崎市の八丁味噌をはじめとする醸造業が盛ん。きっと、このスープには地元のたまり醤油を使っているのだろう。

麺は、平打の極細ちぢれ麺。コシはなく、食感はタラっとしている。スープがよく絡む上にスープの旨みを吸いまくっているので、無性に白飯が食べたくなる。食堂における中華そばは、これが正解だと思った。

チャーシューがゴロゴロと入った炒飯

次に、炒飯。彩りよく盛り付けられた錦糸玉子と紅ショウガが印象的。具材は、大きくカットされたチャーシューとネギ、そして、炒飯には珍しいタケノコ。

味付けは醤油? いや、チャーシューを仕込む際のタレや中華そばの「かえし」かもしれない。いずれにしても、口当たりはやや濃い目

中華屋の炒飯のように強火でガンガンに炒めてあるというよりも、ご飯と具材、タレを混ぜ合わせているという感じ。炒飯ではなく、焼きめしと言った方がよいかもしれない

前に書いた通り、炒飯だけでは辛く感じるが、中華そばと交互に食べると、スープのコクがプラスされて美味しい。これぞ、チャーラーマジック。だから、チャーラーの食べ歩きはやめられない。

撮影・文/永谷正樹

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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永谷正樹
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