素材のよさは言うまでもない。が、それだけでは足りない。狙い通りの味を生み出すための技、知識、何より旨いうなぎを食べさせたいと言う情熱。夏のご馳走だからこそ、そんな技と矜持を持つ匠が焼き上げるうな重こそ堪能したい。今回は東京駅周辺エリアで楽しめる絶品うな重をピックアップしました。ひと夏の感動はこちらでどうぞ!
上質な”飴色の絨毯”を敷き詰めた玉手箱に歓喜『鰻 はし本』@八重洲
その艶姿は芸術の如き。美しさに胸が高鳴り、ふかふかの身に心酔し、食べ終えた後も残像がちらつくのだから、もう魔性としかいいようがない……『はし本』のうな重である。
うな重「ろ」6000円、吸い物(肝あり)400円

店舗の老朽化で24年にリニューアル。厨房が見渡せるカウンター席を設けたのは「一連の仕事や所作を見てもらうのは誠実であり続けるうえで大切」と考えたからだそう。気を抜かない江戸前の技が店の味を支えている。
4代目の橋本さん曰く「イメージは飴色の絨毯」だ。素焼きの際、うなぎから出る脂で小骨を焼き切るように火入れしてふわとろの食感に。タレは普通の家庭にある調味料を使いつつも質のいいうなぎを日々くぐらせることで深化した味に。厳選した素材と、それをくぐらせる循環の維持がまた食べたいと思わせる魔性の旨さになる。
「自分が思ういい店とは高級店である必要はなく、町場の店の延長線上にあるもの」。
つまり地元に求められる店、王道から乖離しない味。流行は変わるが王道は無くならない。だから迷う時は常に「王道とは何か」に立ち返るそうだ。
4代目:橋本正平さん「創業約80年の歴史と風情を新店舗でも守りたいと思います」
[店名]『鰻 はし本』
[住所]東京都中央区八重洲1-5-10
[電話]050-1808-6166
[営業時間]11時~14時半(13時半LO)、17時~21時(19時45分LO)、土:11時半~15時(14時LO)※売り切れ次第終了
[休日]日・祝、第1・3土
[交通]JR山手線ほか東京駅八重洲北口から徒歩5分
趣ある町の名店でブランドうなぎをしっとり味わう『三好』@人形町
うな重は当然うなぎが主役。けれど米が残念だったら魅力半減だと思いませんか?
うなぎが旨いのは大前提、何とこちらは昔ながらの竈で炭火炊きしたご飯を使う。炭火焼きの国産うなぎ×炭火で炊いたご飯の最強タッグ、そりゃおいしいよね。
実はここ、西伊豆でおよそ80年続いた本店の味を東京で受け継ぐ店。2代目は日本料理店でも20年以上のキャリアを積んだ腕利きの職人だ。
米にこだわるのは本店同様、炭火で炊いた硬めのご飯は風味豊かで粒立ちふっくら、これまた80年物の秘伝のタレをまとった香ばしいうなぎと絡まり合い……ふう、最後のひと粒まで残してなるものか。
うな重・雪5270円(きも吸・漬物付き)

しかも肝吸いに使うカツオ節も手削りしているそうで、和の基本を大事にする矜持をビシバシ感じる。現在は3代目も焼き場に立つ下町の人気店、夜は一献もおすすめだ。
2代目:中村幸さん、3代目:佐々木圭佑さん「人形町の店はもうすぐ23年になります」
[店名]『三好』
[住所]東京都中央区日本橋人形町1-5-6ナカハナビル1階
[電話]03-3664-3440
[営業時間]11時半~14時(13時20分LO)、17時半~21時(20時15分LO)
[休日]日・月
[交通]地下鉄日比谷線ほか人形町駅A6出口から徒歩2分
撮影/貝塚隆(はし本)、西崎進也(三好)、取材/肥田木奈々
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