栗おこわとリンゴ、長野電鉄の特急列車で秋を楽しむ/1978年~2018年
あんなに暑かった夏も過ぎて、すっかり秋が深まりました。
この原稿を書いている前日には、今年はじめてのキンモクセイの香りも漂っていました。
秋になると食べたくなるのが、栗おこわです。
それも本場、長野の小布施で食べたいです。
もちろん、長野の秋といえばリンゴも。
それで、今回は長野の私鉄、長野電鉄のお話です。
[赤いリンゴと赤い特急電車、長野電鉄秋の風景(2007年撮影)]
長野電鉄は、北陸新幹線の長野駅から少しだけ離れた、地下にある駅から出発します。
以前は2本の支線があったのですが、現在は長野駅から北東方向に向けて湯田中駅までの長野線で運転が行われています。
地元の足として走る各駅停車のほか、地方鉄道には珍しく観光客向けの特急電車が走っています。
かつて走っていた特急電車は、“りんご電車”の愛称で親しまれていました。
この2000系は、丸いスタイルで“りんご電車”と呼ばれるのがよくわかります。
製造が開始されたのは1957年で意外と古く、きっとこのころには斬新なスタイルに見えていたのでしょう。
[“りんご電車”と呼ばれた2000系(2005年撮影)]
残念ながら2012年には廃止されてしまいました。
この廃止前には塗装を登場したときのマルーンと、その後の通称「りんご色」に飾られて、最後の走りをしていました。
[2000系が登場したときのマルーン色(2007年撮影)]
[もうひと編成は「りんご色」で走った(2007年撮影)]
廃止後も、りんご色の編成が小布施駅に保存されていて、一部は車内も見ることができます。
現在の特急列車も、2種類の名車で運転されています。
先に運転を開始したのは、元小田急のロマンスカーです。
列車名は温泉地らしく「ゆけむり」。
4両編成と短くなりましたが、色も小田急のときのままです。
短い編成で走る姿は、鉄道模型のようでかわいいです。
[元小田急ロマンスカーの特急“ゆけむり”(2007年撮影)]
もちろん先頭車のパノラマシートは健在で、いちばん前から風景を楽しむことができます。
[“ゆけむり”のパノラマシート。運転席は2階にあって、風景を楽しむことができる(2007年撮影)]
そして、いちばん新しいのは、特急“スノーモンキー”です。
記憶にある方も多いと思いますが、この車両は元のJR特急 成田エクスプレスです。
こちらはなんと3両編成。
その姿に、笑みもでてしまいます。
[元成田エクスプレスの特急“スノーモンキー”(2014年撮影)]
[“スノーモンキー”の名前は、地獄谷野猿公苑の温泉に入るサルから来ている(2012年撮影)]
この列車には個室があります。
通常料金にプラス1000円で4人まで使えるので、グループにはお得な席です。
[“スノーモンキー”の個室は、4人まで1000円でお得。ただし1編成に1室のみ(2012年撮影)]
長野ならではの秋の味覚、栗おこわに舌鼓!
長野電鉄沿線の観光地といえば小布施。
やはり秋に行きたいところです。
目指してゆくのは「栗おこわ 新栗になりました」の張り紙。
撮影をしばし中断して食事タイムです。
かごに入れられ、笹の葉の緑にのった栗おこわ。
ほっこりとした栗と、うっすらと甘みを感じる米。
「ああ、秋だなぁ」と思う味です。
[目指すはこの看板。これぞ、秋の楽しみ(2007年撮影)]
[ほっこりとした新栗のおこわがおいしい(2005年撮影)]
お土産には、小布施の甘味をいろいろとセレクトしました。
[小布施で買った、甘味お土産]
栗かのこは、東京のお節料理のくりきんとんのように蜜餡の中と丸の栗の和菓子。
栗羊羹もおいしいです。
方寸は栗ではないのですが、甘み控えめな落雁で、日持ちもするために私の家には常備のお菓子です。
[湯田中駅の温泉(後ろ)と無料の足湯(2007年撮影)]
長野電鉄の終点湯田中駅には温泉もあります。
撮影をして、おいしいものを食べて、駅で温泉……。
最高です。
佐々倉実(ささくら みのる)
鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”、初めて鉄道写真を撮ったのが小学生のころ、なんやかんやで約50年経ってしまいました。鉄道カメラマンなのに撮影の8割はクルマで移動、列車に乗ってしまうと、走るシーンを撮影しにくいので、いたしかたありません。そんなワケで年間のかなりの期間をクルマで生活しています。趣味は料理と酒! ヨメには申し訳ないのですが、日々食べたいものを作っています。
鉄道旅と食の話、最新の話題から昔の話まで、いろいろとお付き合いください。
ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。なにとぞご容赦ください。
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