旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■里山に
正解:グミ
難易度:★★★★☆
渋みの健康効果は抜群
グミは、グミ科グミ属の植物の総称で、落葉または常緑低木の果樹で、日本各地に広く自生しています。
枝先に赤い実をつけ、葉の裏が銀白色でキラキラと輝くのが特徴です。英語では”silverberry”とも呼ばれます。
子どもの頃、赤く色づいた実を見つけては口にしたという人もいるのではないでしょうか。
グミとひと口に言っても、日本に分布するグミにはさまざまな種類があります。種類によって実のなる時期や風味が異なり、それぞれに個性があります。
春先に実をつけるナワシログミ、初夏に赤く熟し、庭木としても人気のナツグミ、晩秋に実るアキグミ、園芸品種で実が非常に大きいビックリグミなど。
なかでもナツグミは、梅雨入り前の時期に赤く熟し、甘酸っぱさと渋みのバランスが絶妙で、昔から初夏の味として親しまれてきました。
果皮には白い斑点のような模様が見られ、これが完熟のサイン。熟すと渋みが和らぎ、果肉がやわらかくなり、甘みが増します。
いっぽう、アキグミのような晩秋の品種は、熟すと実が黒っぽくなります。
そのまま食べてもOKですが、砂糖漬け、果実酒、ジャムにしたり、お菓子づくりに使われたりすることもあります。
かつては民家の庭木として、また里山の食料源として親しまれていたグミですが、近年ではほとんど見かけなくなりました。
これに関しては、果樹としての商業価値が低い、果実が日持ちせず市場流通に不向き、渋みがあるため敬遠されやすい、種が大きく食べづらいなど、さまざまな理由が考えられます。
このように忘れられがちなグミですが、その素朴な風味と豊かな栄養価が再注目され、最近では、無農薬栽培で育てたグミの実を使ったジャムやドリンク、さらにはクラフトビールなど、新たな形での活用も広がっています。