斬新な調理スタイルの「バズレシピ」や「至高のレシピ」で話題のリュウジさんは、お酒を飲みながら料理をするというYouTube動画が人気の料理研究家です。レシピの公開だけでなく、Twitter「リュウジの酒場探求記」では気になる飲食店の紹介も。SNSなどの総フォロワー数が700万人以上という「料理のお兄さん」が、感性の赴くままに歩いて街で見つけた「自分史上最高にウマくて、楽しく飲める店」について本音で語ります。
第4回は東京・月島の「大衆酒場 泥亀(どろがめ)」です。
店先のメニューこそ情報の宝庫 ヤバいウマさがほぼ9割の確率で分かる!
僕は、店先に立つと、そこでウマい料理が食べられるかどうか、ほぼ9割の確率で分かります。何を見るか。店の前に置かれているメニューです。その料理にどれだけ仕込みがあるか、メニューの裏側までじっくり考えます。
例えば、旬のものを使った煮込み料理とか、仕込みが多ければ多いほどウマいんです。料理研究家の性(さが)なのでしょう。
それに手間をかけてでも、美味しいものを提供したいという店側の心意気が伝わってくるのが、好きなんです。店先のメニューこそ、情報の宝庫です。
わさびたっぷりの肉厚シロコロ 小判型のタン入りつくねがおススメ2トップ
月島で、友人らともんじゃを食べた帰り道。もんじゃストリートからはずれた一角に、昭和レトロな雰囲気が漂う居酒屋の前のメニューを何気なく見るや「ここ、もしかしてヤバくね!?」と、足が止まりました。僕の好きなやきとんやホルモンに、酒飲みをくすぐる“仕掛け”が見え隠れしているんです。賑わう店内に導かれるように、中へ。
ちなみに「泥亀」は、スッポンの別名でもありますが、スッポン料理屋ではありません。やきとんは、ホルモンを中心に種類が豊富。しかも1串120円台(税抜き価格)が大半で、その安さに驚きながら、気になる串をどんどん注文していくことに。
ホルモン好きの僕は、「シロコロ 塩生わさび」(120円)から。シロコロをいつもタレでは食べるけど、塩わさびは初めて。
出てきたのは、輪っかのままの肉厚なシロコロの上に、たっぷり塗られたわさび。ちょっとおののきながらかぶりついた途端、噛めば噛むほどジューシーな肉汁があふれ出てきて、ウマいのなんの!わさびが新鮮だから、たっぷりつけても全くツーンとせず、肉の脂身をさっぱりと流してくれます。120円でこの味とボリュームに、一串目から度肝を抜かれました。
やきとん2串目は、「たん生つくね たれ」(180円)をチョイス。大きめの小判型のつくねの中に、刻んだタンが入って、軟骨のようなコリコリ感がたまらない。「シロコロ 塩生わさび」「たん生つくね たれ」は、早くもおススメ2トップに決定!
ほかにも、「生チョリソ」(180円)は、ボイルしてない生チョリソを炭火で焼いているから、香ばしい。ピリッとした辛みが、中生ビール(480円)とベストマッチ。
こちらも初めての「カルビなんこつ たれ」(150円)。おそらく、一度とろとろに煮込んでいるような、ホロリとした柔らかさ。丁寧な仕込みがないと生まれない、感動を呼ぶ味わいです。
1串に宿る料理人の技と心が、ザクッと胸の奥に刺さります。1串120円台からという安さながら、美味しいものを食べてほしいというまっすぐな想いが伝わり、気分良く酔いしれます。