斬新な調理スタイルの「バズレシピ」や「至高のレシピ」で話題のリュウジさんは、お酒を飲みながら料理をするというYouTube動画が人気の料理研究家です。レシピの公開だけでなく、Twitter「リュウジの酒場探求記」では気になる飲食店の紹介も。SNSなどの総フォロワー数が700万人以上という「料理のお兄さん」が、感性の赴くままに歩いて街で見つけた「自分史上最高にウマくて、楽しく飲める店」について本音で語ります。
第5回は東京・渋谷の「炭焼万能飯所 勘九朗(かんくろう)」です。
スペイン坂の途中にあった都会の喧騒を忘れる別世界
「牛タンの美味しい店に行こう」と友人に連れられ、渋谷へ。スペイン坂の途中を曲がった奥に建つビルの、ともすれば見落としそうなドアを開けると、さっきまでの喧騒とはかけ離れた静かな別世界が広がっていました。
モダンな店内を進み案内されたのは、掘りごたつのある広めの個室。一軒家に招かれたような温もりを感じます。
いつものようにハイボールで乾杯したら、早速、気になる「タン塩三昧」(随時価格変更)を注文。まもなく、分厚い牛タンが皿いっぱい、七輪とともに出てきました。七輪を卓上に置き、十分熱した網に牛タンをのせると、じゅっと音がして脂が滴り落ちます。備長炭でじんわり炙った牛タンを口に入れると、ふっくら柔らかく食べ応え十分。ジューシーな噛み心地で、めちゃくちゃウマい!
「鴨鍋」を美味しくいただく極意とは
メニューを見ると、焼肉から海鮮、揚げ物からデザートまでバラエティー豊か。ドリンクも日本酒、ワイン、ウイスキーから、カクテル、サワー等々、何でも揃っています。
ふと、「鴨鍋」(1人前2500円税抜、2人前より注文可)に目が留まりました。なぜなら、僕は鴨肉が好物!自分でも、鴨からフォアグラを採取した後のマグレカナール(胸肉)を買ってきて、オレンジソースと和えて食べたりもしますが、鴨鍋は初めて。
おそらく、鴨鍋に使われているのは合鴨ではないでしょうか。季節を問わず食べることができるとはいえ、晩秋から冬にかけては鴨鍋のベストシーズン。迷わずオーダーします。
登場したのは、まるでバラの花びらのように色鮮やかな鴨肉のスライス。テンションが上がりまくります。鴨出汁にネギや白菜、春菊やしめじを入れた土鍋を温めると、芳醇な湯気が漂い始めました。
鴨肉のスライスは、しゃぶしゃぶの要領で1枚ずつサッと出汁にくぐらせます。サッと、ほんの短時間がポイント。出汁につける時間がちょっとでも長いと、肉が固くなってしまうからです。鍋から取り出したら、前もって柚子胡椒をほんの少しだけ溶いた出汁にすぐにつけて頬張ると、甘味とコクが口の中いっぱいに広がります。これは、かなりヤバい!鴨出汁が非常に風味豊かなうえ、鴨の脂を柚子胡椒がさっぱりと流して、何ともホッとできる味です。