店主の高齢化や後継者の不在などに新型コロナも加わり、地元で昔から親しまれてきた町中華が廃業を余儀なくされている。その反面、レトロブームが追い風となって町中華の魅力を再発見する動きもある。
ホテル中華のクオリティを気軽に楽しめる『浜木綿』
中華チェーン『大阪王将』の街中華モデルをはじめ、大手外食チェーンもそれにあやかりたいと町中華の業態店を続々とオープンさせている。そんな中、筆者が暮らす名古屋を中心にチェーン展開する中華レストラン『中国料理 浜木綿(はまゆう)』(以下、浜木綿)が2022年7月、名古屋市千種区茶屋が坂に町中華業態の新ブランド『中国食堂 はまゆう』をオープンさせた。
メニューは、麻婆豆腐や酢豚、天津飯、焼売など町中華の定番がメイン。しかも、ランチタイムには、「炒飯&ラーメン定食」、つまりチャーラーも用意。これはもう行くしかない! と、その前に母体である『浜木綿』について触れておこう。
『浜木綿』は、筆者の地元にも店があり、家族の誕生日や結婚記念日に何度か利用したことがある、と書くと『浜木綿』の立ち位置をわかってもらえると思う。
高級中華やホテル内の中華レストランほど敷居は高くない。ファミリー向けの『バーミヤン』や『餃子の王将』、『大阪王将』よりも高級というポジションである。メニューも料理の味付けもホテル内の中華レストランに近く、どれも上品という印象がある。そんな『浜木綿』が手がける町中華のチャーラーは、はたしてどんなものなのか?
店に到着したのは、ランチのピークを過ぎた13時半近く。それでもほぼ満席で、辛うじてカウンター席にすべり込むことができた。店内は町中華というよりもカジュアルな雰囲気。町中華っぽいのは赤字に黄色の文字で描かれたメニューくらい。
で、ランチメニューがこれ。エビチリや麻婆豆腐、ニラレバ炒めなどメイン料理に点心が付く定食や天津飯や炒飯、担々麺、ラーメンをメインとした定食などが揃う。巷の町中華と比べると、圧倒的に種類が多い。店主のワンオペか夫婦が基本の町中華と違い、2名のスタッフが調理を担当していたし、サービス担当のスタッフも多いからメニューの種類が多くても対応できるのだろう。
また、小籠包や焼売、餃子などが定食にプラスできるほか、定食のご飯の大盛りやおかわり、炒飯への変更など細かくカスタマイズすることも可能だ。これには好感が持てた。注文したのは、もちろん炒飯とはまゆうラーメン、サラダがセットになった「炒飯&ラーメン定食」(979円)。
待つこと約10分。目の前に運ばれたのがこれ。すべての料理が同時に出されるのもうれしかった。まず、セット全体のビジュアルからチェックしてみよう。炒飯もラーメンもそれぞれしっかりと1人前あり、ボリュームは言うことなし。サラダが付くのも箸休めにはぴったりだ。