旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■クイズの答えは……
正解:あなご
難易度:★★☆☆☆
脂がのっていない時期が旬!?
一般的にあなごの旬は6~8月といわれています。面白いことに、普通の魚の場合は旬は脂がのる時期が旬といわれますが、あなごの場合は逆で、脂が少なく淡泊でさっぱりとした味わいになる時期が旬とされます。
これは、あなごは脂ののったものよりさっぱりとしたもののほうを好む人が多いからということです。この時期のあなごは「梅雨あなご」や「夏あなご」と呼ばれています。
とくに6月にとれる梅雨あなごは、梅雨で増水した川から運ばれた栄養豊富なエサをたっぷり食べているため旨みが増すと、珍重されています。
とはいえ、こってりが好きという人には冬のあなごがお薦め。冬のあなごは春の産卵に向けて栄養を蓄えているため、脂がのったコクのあるうなぎに似た味わいが楽しめます。
見た目や食感がそっくりなうなぎとあなご。食べ方もあなご丼や白焼きなど、うなぎと似たような料理がたくさんあります。しかし、あなごはアナゴ科、うなぎはウナギ科と、生物学的には別の種類です。
大きな違いは生息域です。うなぎは淡水に棲む魚であるのに対し、あなごは海水に棲む魚です。ほかに、うなぎの体表には細かいうろこがあるのに対し、あなごにはなかったり、うなぎは下あごが出ているのに対し、あなごは上あごが出ているなどなど……、細かい違いがたくさんあります。
江戸前穴子が有名なため、あなごは東京湾でたくさんとれるというイメージが強いのですが、島根や長崎、宮城などのほうが漁獲量が多く、東京は漁獲量としては突出して多いわけではないのです。
近年、うなぎの漁獲量が激減しているということで、あなごを代用食として食べようなどといわれることもありましたが、実は、あなごの漁獲量も減少傾向にあるのです。
これは乱獲が一因といわれています。うなぎよりも安価で食べられるあなごですが、高い将来、うなぎ並みの高級食材となってしまうかもしれませんね。
美味しいあなごの見分け方
さばく前のアナゴなら、ぬめりがあり、皮に白い斑点がはっきり現れているものを。すでにさばかれて焼かれているものの場合、身が分厚くてふっくらしているものを選びましょう。また、タレがついておらず身の色が確認できるようなら、白くてツヤのあるものを選びましょう。
あなごの注目栄養素
肌や粘膜、目の健康を守るビタミンAを非常に多く含んでいることが注目ポイント。また、血液サラサラ効果の高い、EPAやDHAという良質な油もとれるうえ、うなぎよりも低脂質。たんぱく質もたっぷりなので、ダイエット中の人にもお薦めです。