日本人の元気の源、おにぎり。たっぷりの具を包んだその包容力のあるおいしさは、どこか懐かしい気持ちになるもの。米、塩、海苔、具、握り方……作り手のこだわりもぎゅっと詰まってる。地元の人気店から海外の定番など、おいしい幸せを探してきました。
『福の蔵 by お福酒造』 @恵比寿
新潟の老舗酒蔵が本気で手掛ける絶品おにぎり
米と米の間に空気を含ませリズミカルに握るその人は、女将は女将でも“おにぎり女将”。老舗料亭で長年の女将経験があり、加えておにぎりの旨さが評判だったことから抜擢されたんだそう。
そもそもここは新潟・長岡の酒蔵「お福酒造」が日本酒の魅力を発信すべく東京進出した店なのだが、酒造りの要である米つながりでおにぎりに着目したという訳。何てったって地元は言わずと知れた米どころだ。
おにぎり定食(お好きなおにぎり2個・小鉢3品・味噌汁付き) 1100円
使うのは特別栽培米の魚沼産コシヒカリ「雪椿」。やや硬めに炊き、〇でも△でもなく角のない家庭的な形になるよう型枠を使わず握っている。
具の味の濃さによって振る塩量も変える配慮は繊細。頬張ればほろりとほどけ、米と具が絡まる美味が口いっぱいに広がる。
さて日本酒。代表銘柄からレア物まで揃うのは蔵元直営の強みだ。飲む米と食べる米、両方の口福に出合えるありがたき店。
[住所]東京都渋谷区恵比寿4-20-7 恵比寿ガーデンプレイスセンタープラザ地下2階
[電話]03-6721-6613
[営業時間]10時~20時(おにぎりは平日10時~材料が無くなり次第終了)
[休日]施設に準ずる
[交通]JR山手線ほか恵比寿駅東口から徒歩8分
『おにぎり屋 シチロカ』 @人形町
手間暇かけたおいしさが活力になる路地裏の名店
ひとりふたりと絶え間なくお客さんが吸い込まれていく路地裏の小さな間口。昨今のブーム前から愛される地元の名店だ。シチロカ。4文字をおにぎりのようにぎゅっとまとめたら……そう、活力。「頑張ってる人の活力になりたいとの想いを込めているんです」。じーん、沁みるなぁ。
羽釜で炊いた米は粒立ちふっくら、やさしく握ったそれはたっぷりの具もうれしくてまた泣けてくる。
おにぎり単品(ぜいたく鮭 300円、煮あなご 300円、黒米 300円)
魚介類の仕入れは豊洲から。王道の鮭は店で2日ほど塩麹に漬けた後にオーブンで焼いて手ほぐし。穴子も生を湯引きして甘辛く炊いた口溶けがたまらない。ツナマヨだって缶詰ではなくマグロを煮て作る自家製だ。
疲れた時、元気になりたい時、いやいつでも。おいしい活力をもらいに行こう。
[住所]東京都中央区日本橋人形町3-5-6 榎本ビル1階
[電話]070-6983-7602
[営業時間]7時半~14時(10時~11時はテイクアウトのみ)※無くなり次第終了
[休日]日・祝(土は不定休 ※9時~14時)
[交通]地下鉄日比谷線ほか人形町駅A5出口から徒歩2分
『神楽坂むすびや』 @飯田橋
家族への想いがおにぎり作りの原動力に
原点は家族においしいおにぎりを作りたいという母心。ならばと専門店で修業して腕を磨いたのが女将の伊東さんだ。実家が神楽坂の元料亭だった夫の勧めとママ友らの協力で店を開業して今年で8年になる。
こだわりは細部まで。米は一等米のみをオリジナル配合、海苔は寿司店も使う香り高い高級品、沖縄の塩はすりこぎで水分を飛ばしてサラサラにするひと手間を。脱帽です。
むすびやセット(お好きなおむすび3つ・鶏の唐揚げ2コ・お味噌汁) 1050円
北海道産の銀鮭や濃厚な卵黄味噌漬けなど多彩な具は日に日に増えて現在は約40種になるそう。なるべく無添加で手作りを信条としており、基本の食材は自ら築地で仕入れている。
そんな愛情たっぷりのおにぎりを盛るザルも職人が手編みした伝統工芸品。女将の心意気もセンスも素敵、惚れる店です。
[住所]東京都新宿区神楽坂2-10
[電話]03-3235-3094
[営業時間]8時半~14時 ※土は10時~
[休日]水、日・祝
[交通]地下鉄有楽町線ほか飯田橋駅B3出口から徒歩3分