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カキが旨い季節がやってきた。衣はカリッと身はジューシーなカキフライ、セリがたっぷり入ったカキ鍋、炊きたてのカキご飯。茹でたカキに甘味噌をつけて焼くカキ田楽もオツだ。カキ漁師は、海で採れたてのカキの殻からナイフで身を剥て、海で洗ってそのまま生で食べるのが好みだという。レモンをちょいと絞ればなおさらよい。うーん、旨い!

そんなカキ漁師の旅の本が出版された。カキじいさん、世界へ行く!には、三陸の気仙沼湾のカキ養殖業・畠山重篤さんの海外遍歴が記されている。畠山さんは「カキ養殖には、海にそそぐ川の上流の森が豊かであることが必須」と、山に植林する活動への取り組みでも知られている。

「カキをもっと知りたい!」と願う畠山さんは不思議な縁に引き寄せられるように海外へ出かけていく。フランス、スペイン、アメリカ、中国、オーストラリア、ロシア……。世界中の国々がこんなにもカキに魅せられていることに驚く。そして、それぞれの国のカキの食べ方も垂涎だ。

これからあなたをカキの世界へ誘おう。

連載26回「やっぱり日本人は凄かった…三陸のカキじいさん「森は海の恋人」がロシアで「ハラショー」と絶賛されたワケ」にひきつづき、メサビ鉱山からミシシッピ川をくだってニューオーリンズへ向かう旅である。どんな胸躍る出会いがあるのだろうか。

前回まで】
ロシア極東ハバロフスクでの植樹祭に参加したカキじいさん。太平洋国立大学で講演し、アムール川の鉄分がオホーツク海や北太平洋の生態系を支える仕組みを説明すると大きな反響がありました。翌日、アムール虎保護のための植林を行い、川の水からフルボ酸鉄の味を感じ取り、戦争捕虜の墓地や先住民遺跡も訪れ、北海道との文化的つながりを実感します。帰国後、白岩教授から流域開発の進行と環境教育の重要性を指摘され、旅の意義を再認識したのでした。

メサビ鉱山の鉄

「あなたは磁石みたい。いつも鉄をくっつけて帰ってくる」

と、わたしは妻に言われています。2019年(令和元年)5月、巨大な鉄がくっついてきました。アメリカ最大の鉄鉱石鉱山「メサビ鉄山」です。

そんなのどこにあるのかといいますと、北アメリカ五大湖のスペリオル湖に近いミネソタ州の北部にあるのです。でもそれだけではわたしの心は騒ぎません。大きな地図を広げてスペリオル湖周辺を調べてみました。なんと、そこはミシシッピ川の源流近くではありませんか。

ずっと昔、昭和40年代ぐらいまでは、小学校の教科書に世界一長い川と記されていたのを思い出しました。約3800キロメートルもあるんですよ。河口はメキシコ湾のニューオーリンズです。

このことを知って心が騒ぐ人は、そう多くはないでしょう。でも鉄じいさんであり、カキじいさんであるわたしは、めまいがするほど心が騒いだのです。

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「メサビの鉄がカキを育んでいる」という直感です。中学生のころ出会った東北大学のカキ博士、今井丈夫先生…
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高木 香織
高木 香織

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