旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■道端に……
正解:つくし
難易度:★★☆☆☆
ほろ苦さが魅力です
春の訪れを告げる風物詩として知られるつくしは、シダの仲間のスギナという植物の茎(胞子茎)です。まずは春先につくしが芽を出します。そして、つくしと地下茎でつながったスギナがつくしが枯れた後に芽を出します。
つくしが胞子茎と呼ばれるのに対し、スギナは栄養茎と呼ばれます。その名のとおり、つくしは筆のような形をした頭の部分に胞子が詰まっていて、胞子を飛ばし、子孫を残します。
スギナは地中深くに地下茎を伸ばしますが、その地下茎はじつに丈夫で、畑を耕したりして切断されたとしても再生することができます。ということで、いったんスギナが繁殖してしまうと完全に除去することは非常に困難となってしまいます。
農作業をする人などにとってはじつにやっかいな存在ですが、胞子茎であるつくしは食べることができます。ただし、つくしが姿を現わす期間は、春先の2~3週間ほどと、ごく限られています。
旬の時期は地域によって異なりますが、九州地方は3月頃、本州は4月頃に、東北地方や北海道など5月初旬となります。
ただし、つくしを食べることが一般的なのは関東以南で、北海道、東北、関東、北陸ではあまりなじみのある食材ではないようです。
食用とされるのは節の周りの茶色い「はかま」を取り除いた茎の部分です。胞子を作る頭の部分も食べられますが、アクが強く苦みが強いので取り除くことをおすすめします。
よく水洗いをして「はかま」(節の周りの茶色い部分)を取り除き、軽くゆで、水に2~3時間さらしてアク抜きをします。ただし、つくしの成長具合によってアクの強さが変わるため、少し食べてみて苦みが強いと感じるようなら長めに水にさらしましょう。
下処理がすんだら、炒め物、煮物、卵とじ、佃煮、天ぷら、和え物など、幅広い料理に使うことができます。パスタなどに加えても美味しくいただけます。
下処理に少々手間がかかりますが、ほかの食材にはない「ほろ苦さ」が魅力。手軽に採取できるので、一度、試してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、繁殖力の強さゆえ、道端や河川敷、空地など、さまざまな場所で採取できるのですが、排気ガスなどで汚染されているような場所、人の往来が多い場所にはえているものは避けましょう。