旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■硬い
正解: かりん
難易度:★★★★★
芳香が魅力です
かりん(花梨)は、バラ科カリン属に属する落葉高木です。
中国原産とされ、日本には奈良時代、もしくは平安時代に渡来し、庭木や薬用植物として植えられていたといわれています。樹高は5~8mほどに達し、春には淡紅色の花を咲かせます。果実は秋に熟し、楕円形で硬く、表面は黄色く艶があり、独特の芳香を放ちます。
玄関や床の間に置いておくだけで、部屋中に甘く爽やかな香りが広がります。これは、かりんに含まれる揮発性芳香成分によるもので、芳香剤やポプリのかわりとしても使うことができます。
また、香りには虫除け効果もあるとされており、昔の民家では台所や物置に置かれることもありました。
俳句や短歌にも登場する果実であり、秋の季語にもなっています。
収穫期は、一般的に10月下旬から11月中旬にかけてです。秋の深まりとともに果実が黄色く色づき、芳香を放ち始めます。
全国各地で栽培されていますが、とくに長野県が有名な産地として知られています。長野県では、気候が冷涼で昼夜の寒暖差が大きいため、香り高く品質のよいものが育ちます。諏訪地方や伊那谷などでは、加工品も多く、地域ブランドとしての展開も進んでいます。
ただし、スーパーなどで生果を見かけることは少なく、道の駅や直売所、加工品としての流通が中心となっています。
実が非常に硬いため生で食べることはできず、通常は加工して用いられます。
代表的なものは「かりん酒」「かりんシロップ」「かりんジャム」などです。いずれも、果実をスライスして砂糖や焼酎に漬け込み、香りと成分を抽出する方法が一般的です。
とくに「かりん酒」は、かりんに含まれる成分が喉の粘膜を保護し、咳止めや風邪予防に効果があるとされ、民間療法のひとつとして古くから用いられてきました。
また、かりんジャムにすると芳香が楽しめます。煮詰めることで渋みが抜け、香りが凝縮されるためです。パンやヨーグルトに添えるだけでなく、肉料理のソースとして使われることもあります。
さらに、果実を乾燥させて「かりんチップス」にする例もあり、これはお茶うけや薬膳素材として利用されています。
-
¥4,380(税込)
-
¥5,400(税込)
-
¥5,100(税込)
-
¥5,280(税込)