旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■ホクホク
正解:やつがしら
難易度:★★★☆☆
縁起物です
やつがしらとは、サトイモ科サトイモ属に分類される植物のサトイモの変種です。
サトイモは、ブドウの房のように、親イモから子イモ・孫イモが独立した状態で連なって育ちます。一方、やつがしらは、カリフラワーのように、親イモと子イモが分かれずにガッチリと密着したひとつの大きな塊になって育つのが特徴です。
この見た目から「頭(かしら)がたくさん集まっている」として「八頭(やつがしら)」と名づけられました。
この姿が、家族が集まる様子や人の和を連想させるため、大変縁起のよい食材とされています。昔から、出世を願う武家社会でも珍重され、庶民の間でも「頭になれるように」との願いを込めて食されてきました。
また、関西ではおせちに使う芋といえば海老芋が主流ですが、関東ではやつがしらが「頭が出る=出世」を象徴する縁起物として重宝されてきました。
日本へは、縄文時代後期にはすでに伝来していたとされ、稲作が本格化する以前の、非常に古い時代から主要な作物として栽培されてきたと考えられています。
旬の時期は、秋から冬にかけてで、とくに11月頃から1月頃までが市場に多く出回ります。
収穫自体は秋口から始まりますが、寒さが深まるにつれて、イモに含まれるデンプンが糖に変わり、ねっとりとした食感と甘みが凝縮されていきます。とくに冬の寒気にさらされたものは格別で、この時期に収穫されたものが、お正月のおせち料理に使われます。
一般的なサトイモとの違いは、肉質が締まっており、煮崩れしにくく、ホクホクとした栗のような食感があること。サトイモ特有のぬめりが少ないことも特徴です。
「煮崩れしにくい」という性質が、おせち料理に適している理由のひとつです。縁起物を崩すのは縁起が悪いとされるため、形がしっかり保てるやつがしらは、おせち料理の煮しめに最適なのです。
茎は赤みがかかり、赤ずいきと呼ばれます。赤ずいきは昔から東北や北関東を中心に食べられてきた食材で、乾燥させて保存する文化もあり、地域によっては祭りや行事食にも欠かせない食材です。



