覆面調査員がすすめる肉の三ツ星店をご紹介。その前に、一体どのようにして美味しい肉が食べられる店を見つけているのか、肉好きの編集とライターが肉を焼きながらアツ~いトークを繰り広げます!
画像ギャラリー肉といえば、やっぱり焼肉!でした
肉の三ツ星店はどうしたら見つかるのか?
編集・戎誠輝(以下戎)、カメラマン・西㟢進也(以下西)、ライター・肥田木奈々(以下肥)、本郷明美(以下本)、松岡芙佐江(以下松)の5名が集い、ビール片手に好き勝手に語り合いました。
戎「今回集めた三ツ星店リストが手元にあるんですが、肉というと牛肉、しかも焼きが多かったですね。となると、食べるべきは焼肉! ということで座談会も『龍叶苑 麻布店』で行うことにしました」
一同「いただきまーす!」
戎「早速ですが、皆さん、いい焼き肉屋を選ぶコツとか見分け方ってありますか?」
肥「質をきちんと見極めたいから、どこのブランドだとかそういうのをきちんと謳っている店を選びがちですね」
松「魚のお刺身とかだと、切った角が立っているという指標がありますけど……」
本「お肉に関しては脂の質じゃないですか? 運ばれてきた肉をしばらく置いておくうちにじわっと溶け出していると、お、融点が低いんだなと」
松「確かに脂ののった肉はウマイ!ですけど、最近、カルビとかちょっとキツいんですよね」
戎「そうですか?『いわて門崎丑牧場 新宿御苑前店』は、脂が甘くてもたれませんでしたけど」
肥「あの、脂に弱い戎さんが!」
松「質によるんですかねえ。その店のカルビを食べてみたい」
西「そういえば、ライターの菜々山さんが“若い頃は脂ののった高級な肉を求めるけどお金がなく、年をとったら、お金はあるけど脂ののった肉を消化する胃袋がない”と言ってました」
一同「それ、わかるー!(笑)」
サシ肉信仰の時代は、もう終わった!?
戎「話を戻すと、それでもやっぱり、今までの“サシ一辺倒”!って風潮は少し薄れてきましたよね」
肥「そうそう、前号で掲載していた浅草の老舗すき焼き店『ちんや亭』は、”適サシ肉”というのを始めていますよね。適度に脂ののった美味しい肉だそう」
松「へえ、それいいですね」
西「その号は焼肉特集で、表紙の写真がカルビじゃなくてハラミだったんですよね。おって思いました」
本「数年前に爆発的に流行った熟成肉も、赤身肉を美味しく食べるための手法でしたよね」
松「熟成肉は乱立しすぎて下火になってますけど、脂たっぷり=いい肉じゃないっていう風向きが出てきた気がします」
本「それから、肉質にはこだわるけれど、銘柄は限定しないという店が増えていませんか」
肥「松阪牛とか但馬牛と限定してしまうと、今日は妙に高値なのに仕入れざるを得ないという店側の懐事情もあると思いますが……」
西「無理に高値で仕入れて、客側に提供される量が減ってしまうんじゃ元も子もないから、いいと思いますよ」
戎「僕が聞いたのは、牧場と直接取引するのがいいとか。育て方が統一されているから、味のばらつきがなく、常に高品質を保てるそうです」
松「そういえば、以前、焼きとんの良店として紹介したお店で、うちのモツは牧場直送の黒豚ですと言われたことがあります。市場から買うと、一緒くたで販売されるらしいけど、牧場直送ならきちんと品質が保証されているって」
西「今後は“牧場直送”をキーワードに探すといいかも」
肥「ほかにいい焼肉店を判断するポイントは……焼肉は炭でないとダメなわけではない、というところですね。ガス火でも美味しい店はあります」
松「私は炭火がしっかり強火であること、換気がきちんとしていること、これがきちんとしているとイイと思っちゃう」
本「私はお酒のラインナップも重要視します。私の好きな『虎』というマッコリ、甘味料が入っていなくて発泡していて、焼肉にとっても合うんです。これを置いている店は美味しいところが多いです」
西「ドリンクも肉に合うか吟味しているってことですね」
本「そうそう、『やきとんたつや』も店主が酒蔵に足を運んだりしていろいろ研究しているんです。メイン料理が美味しいのはもちろんですが、のんべえとしてここは譲れません」
トマト肉巻き 180円
ちれ 100円、てっぽう・かしら・はらみ 各110円
戎「ライターの市村さんが行く近所の焼鳥店は、店構えから期待を持てなかったらしいんですが、店長がソムリエでなかなかこだわっているようで、それもあってか評価が高かったです」
西「お酒と旨いものは切り離せないですからねー」
研究熱心な個人店を応援して盛り上げたい!
戎「三ツ星店リストを見ていると、肉のお店に限らず、個人店を推薦する傾向がありますよね」
肥「大資本の店もいいけど、個人で頑張っている店を応援したいという気持ちがあるので」
西「焼肉だったら、ある程度こぢんまりしていると、肉の焼き方を教えてくれたりサービスが細やかですよね」
松「そんなに丁寧じゃなくてもいいから、テーブルの上をちらっと見て、『それもう美味しいよっ』とか教えてくれる店も好きです」
肥「私のひいきにしている鶏の素揚げの店は、亡くなったご主人の味を家族で守っているんですよ。もうひとつ、鶏料理のお店も本店は父親、支店は息子が営んでいて唐揚げがすっごく美味しいんです。こういう家族経営の店にもグッときます」
本「鶏肉かあ。わたしは以前30~40軒食べ歩きしたとき、美味しい焼き鳥店に、ある法則を見つけたんですよ」
戎「へえ、何ですか?」本「鳥の象形文字が掲げられている店は美味しい!」
西「『鳥◎族』とか?」
本「違います(笑)。京橋の『伊勢廣』さんとかです」
松「わたしも『伊勢廣』大好きです!以前、取材時に、それまで使っていた塩の仕入れ先が引退されたから、粒子の形を科学的に分析して、先代からの味を再現できるものを探したというのを聞いて、老舗のこだわりを見たというか」
戎「松岡さんはここ『龍叶苑麻布店』のコースで出される調味料を評価していましたし、こういう脇役的な部分に惹かれる傾向があるんですね」
松「こんな食べ方があったのか!とかそういう感動が欲しいんだと思います」
肥「はじめての組み合わせなのに美味しいって感動がありますよね。私は『煮こみや なりた』では、いつも予想外の美味しさに出合えて、そこがまた気に入っているんです。紹介している鴨ムネ肉のポワレもまさにそんな感じでしょう?」
戎「美味しい肉料理は、仕入れにしろ、お酒にしろ、味付けにしろ、お店の方の研究の上で成り立っているってことですかね」
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