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オリジナリティあふれる薬味とだし汁で味わう『花かるた』の海鮮ひつまぶし

薬味やだし汁でさまざまな味が楽しめる「ひつまぶし」。
名古屋めしのブームとともに和牛や名古屋コーチン、天ぷらなどを使った創作系も数多く登場した。
私もこれまで幾度となく取材してきた。
そのたびにアイデアと味に驚いたことを今でも覚えている。

今回紹介する創作系ひつまぶしは、うなぎを使った元祖を凌ぐ完成度かもしれない。
しかも、そのひつまぶしを作った店は名古屋駅からすぐ。
全国から訪れる人々に新たな名古屋名物として発信するにはぴったりの立地。
それが名古屋駅太閤通口から徒歩1分の『名駅 宴処 花かるた』である。

「もともと、うなぎのひつまぶしはメニューにありました。
とくに県外から来られたお客さんには人気でした。
が、ウチでしか食べられないひつまぶしがあってもいいのではと思って、試作と試食を繰り返して完成させました」と、
店長。

「海鮮ひつまぶし」(2380円・税別)がそれだ。
海鮮というだけに、マグロやサーモン、鯛など5種類以上の魚介がたっぷり。
ビジュアルは「ばらちらし」と似ているが、味はまったく違う。
「いちばん苦労したのが、たれの味付けでした。
醤油だとそれこそばらちらしや海鮮丼と変わらなくなってしまいます。
そこで醤油をベースに豆板醤やごま油、砂糖などを合わせて自家製の甘辛だれを作りました。
また、ご飯もだし汁をかけたときの相性を考えて、愛知県産の白米と十八穀米をブレンドしました」(店長)

私がこれまで取材した創作系ひつまぶしの薬味は、ネギと刻み海苔、ワサビと、ほとんどが元祖を踏襲していた。
が、この海鮮ひつまぶしはまったく違う。
愛知県鬼崎産の焼き海苔と愛知県篠島産のじゃことガリの和え物、愛知県日間賀島産真蛸の柔らか煮を薬味として使用する。
すべて地元産というのもすばらしい。

「当店のコンセプトが地産地消なんです。
できるだけ地元産のものを使い、その美味しさを伝えていきたいと思っています。
それと、一人鍋用のコンロが付くのも海鮮ひつまぶしの大きな特徴です。
このコンロでだしの入った土瓶を温めて、熱々をいただくことができます」(店長)

また、焼き海苔をコンロで軽く炙ると、パリッとした食感と香ばしい風味が楽しめる。
コンロを付けると、いいことだらけなのである。

しかも、だし汁は鰹と愛知県三河産アサリをブレンド。
うなぎの場合、タレの味が濃いため、鰹のみを使っただしになるが、アサリの濃厚なコクと香りが海鮮の旨みを引き立てるのである。
もちろん、お猪口に注いで吸い物代わりに楽しむのもアリだ。

食べ方は元祖とほぼ同じ。
まず、1杯目はそのまま。
卵黄をよく混ぜて海鮮にからめるのがポイントだ。

2杯目は好みの薬味をのせて。
前にも書いたが、焼き海苔はコンロで炙った後、手で細かくちぎってのせると、さらに美味しく食べられる。

3杯目はコンロで温めただし汁をかけてお茶漬け風に。
自家製の甘辛ダレと鰹、アサリをブレンドしただし汁はとても相性がよく、最後まで飽きることなく美味しく食べることができた。
創作ひつまぶしとしては後発ゆえに、どの店も手を付けなかった薬味とだし汁をもゼロベースで見直したことは革命的なことだと思う。
この海鮮ひつまぶしが新たな名古屋名物になることを願ってやまない。

名駅 宴処 花かるた
[住所]愛知県名古屋市中村区椿町16-22
[TEL]052-452-7730
[営業時間]11時半~14時半(14時L.O.)※祝日はランチ休、17時~24時(23時半L.O.)※金・土・祝前日は~24時半(24時L.O.)
[定休日]無休

永谷正樹(ながや・まさき)
1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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永谷正樹
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