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サバが古来より郷土料理として身近なのが「鯖街道」を有する福井県若狭地方。 「行き腐れ」といわれるほど足がはやい鯖の鮮度保持のために、独自の加工技術が発達した。代表的なものが「サバのへしこ」(サバのぬか漬け)。この地域ならではの保存食だ。

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一度食べたらクセになる! 福井名物 サバのぬか漬け「へしこ」を堪能! ~若狭編~

サバが古来より郷土料理として身近なのが「鯖街道」を有する福井県若狭地方。
「行き腐れ」といわれるほど足がはやい鯖の鮮度保持のために、独自の加工技術が発達した。
代表的なものが「サバのへしこ」(サバのぬか漬け)。
この地域ならではの保存食だ。
独特の旨みがクセになる味わい。
ご飯にも、酒の肴としても最高!
一度食べるとリピーターになるサバファンが多いのもうなずける。
へしこといっても作り手によって味わいはさまざま。
先日、若狭で食べて比べてみた。
じゃん。
「利きへしこ」♪
左から「小浜市矢代 民宿かどの」「小浜市田烏(たがらす) 民宿佐助」「美浜町 日向(ひるが) 女将の会」のへしこ。

ぬかを落として、刺身で味わうへしこ3種。
焼くとまたまた風味もそれぞれ異なって、食べ比べると楽しい。

見た目も、味わいもまったく別モノ!
「かどの」のへしこは、キリリとした味わい。
佐助のへしこは、ふくよかでマイルドな酸味が印象的。
女将の会のさりげない食べ口、なのにあとからジワジワくる「後引く」味わい。
奥深し、へしこ(涙)
三方五湖に面する美浜町は、若狭の中でもとくにへしこづくりが盛ん。
なにせ、「美浜のへしこ」として地域団体商標登録をしているほどだ。
とにかく町はへしこ一色。
へしこのポスター、のぼりがいたるところに掲げられた「へしこワールド」!
そして美浜町の観光キャンペーンガールは、「へしこちゃん」!
ゆるキャラアワード2009でグランプリを受賞。
へしこを漬ける樽から飛び出したサバ、首には糠のマフラーという斬新さと愛くるしさを兼ね備え、イベントで大活躍!

へしこちゃん。
全身でへしこを体現。
LINEスタンプも人気!

そんな美浜のへしこは、「ほかのエリアにはない特徴があるんです」と語るのは、美浜町観光戦略課の伊達美鈴さん。

「鯖サミット」での伊達美鈴さん(右)。美浜とへしこを愛する想いは世界一。へしこを抱えて、日々、東西南北駆け巡り、もはやへしこと一体化した日々を送る。健康と美容にもおすすめのへしこ。伊達さんもへしこ効果で年齢不詳!
左は先にあげた、「日向のかあちゃん特製へしこ」を造る「女将の会」の加藤美樹子さん。心をこめて仕込んだへしこは、今年もまたたく間に完売御礼!

一般的に、へしこは塩とぬかだけで作られることが多いのだが、美浜は醤油、みりん、酒粕、トウガラシなど各家庭よって秘伝の隠し味を使っているのだという。
「へしこは珍味ではなく、日々の食卓にもあがるお惣菜。毎日食べても飽きないように工夫されているんです」
「へしこがあればごはんが何杯でも食べられる」という人もいるほど、地元で愛されているのだ。
へしこの仕込みは冬の間に行われ、完成までに約1年を要する。
ひとつひとつ手作業で鯖を開き、内臓とエラを取り出して約2週間樽で塩漬けしたあと、今度はぬか、調味料ととともに本漬けをして樽に重石をのせて約10ヵ月寝かせる。

丹生地区の旅館・民宿の女将さんたちで結成された「丹生酵房へしこ丸」の仕込み風景。昔ながらの方法で本格的なへしこ作りに取り組んでいる。寝かせるのは港に面した舟小屋の一角だ。

丹生酵房へしこ丸の新谷富子さん。
新谷さんが女将をつとめる「新谷旅館」でも
へしこ料理がいただける。

さまざまな調味料を加えたぬかに
サバを漬け込む。

冬の厳しい寒さと夏の暑さという、若狭の四季が育んだへしこは、コクと旨みが凝縮されて、絶品だ。
そんなへしこがズラリと販売されているのがドライブイン「五湖の駅」。
美浜町ならではの特産品がズラリと並ぶ。

店内はへしこ天国。
へしこ好きなら悶絶間違いなし!

へしこちゃんがお出迎え♪

へしこ加工品もいろいろ。

スライスされたへしこを焼いた
「へしこBURN!!」。
レンジか湯せんで温めるだけで
香ばしい焼きへしこが楽しめる!

へしこは、アンチョビ感覚で洋風レシピに使うのもおすすめ。
おしゃれな加工品もいろいろ♪

「糠漬け鯖へしこのオリーブオイル漬け」。
サラダやパスタに使うと、
とんでもなく美味しい♪

「美浜のHESHICO」。
へしこの焼きほぐし、へしこの煎りぬか、糠漬けへしこのオリーブオイル漬けのセット。焼きほぐしはおにぎりやお茶漬け、旨みいっぱいのぬかは調味料として使える。カルパッチョや冷ややっこにもおすすめ。オリーブオイル漬けはパスタなどにアンチョビ感覚で。

そして、お食事処の人気メニューは「へしこおにぎり」。

大人気の
へしこおにぎり。

中には白めしの恋人・へしこ。使われるへしこはその日によって変わる。今回はおにぎり、「日向へしこ工房 勘兵衛」のへしこを使用。うす塩で1年間じっくり熟成させた、おだやかな味わい。

ガブリとかじりつくと、へしこの濃厚な味わいが炸裂!!
「サバの旨み爆弾」のようなおにぎりだ。
そして「へしこ茶漬け」。
熱いお茶にへしこの旨みをしみこませるべく、身をホグホグ。
そしてサラサラとかきこむ!

へしこ茶漬け。福井では定番のへしこの食べ方。

旨みがしみるー。
飲んだ後にも最高ですから。

あああああ。
へしこの豊かな風味が極上のだしに!
世界一五臓六腑にしみわたるお茶漬け!
ちなみに、五湖の駅からクルマで5分ほどの美浜町健康楽膳拠点施設「こるぱ」でも、「健幸ランチ」で、「はこべの家」のへしこが楽しめる。
ピロール農法で作られた米の糠と、美浜町の銘酒である三宅彦右衛門酒造「早瀬浦」の酒粕を使った逸品だ。

県園芸体験施設「園芸LABOの丘」に
隣接する「こるぱ」。

「こるぱ」の健幸ランチ。

「はこべの家」のへしこ。ぬかの香りがよく、あっさりした味わい。

サバとぬかと、そして若狭の風土が育んだ、へしこ。
スローフードなサバの奏でる、豊かな旨みの「サバーモニー」を、ぜひ味わってみて!

■五湖の駅
https://www.gokonoeki.jp/
■こるぱ
http://www.wakasamihama.jp/kankou/annai14.html

池田陽子(いけだ ようこ)
サバファンの集い「鯖ナイト」や、日本中のサバ好きが集まる「鯖サミット」などの活動を担う「全さば連(全日本さば連合会)」広報担当/サバジェンヌとして活躍。本業は薬膳アテンダント/食文化ジャーナリスト。著書に『ゆる薬膳。』(日本文芸社)、『缶詰deゆる薬膳。』(宝島社)、『春夏秋冬ゆる薬膳。』(扶桑社)、「ゆる薬膳。」はじめたらするっと5kgヤセました!(青春出版社)、『サバが好き!』(山と渓谷社)など。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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池田 陽子
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