『ぽん酒マニア』の名物料理に同業者が騒然!「パクらせてくれ!」と懇願する料理人が続出中!
ふらっと立ち寄ったお店で心がときめく瞬間が、これまで何度かある。
雰囲気か、それとも店主の人柄か。
もしくは何気なく提供された料理の一つか。
遡ること、およそ10ヵ月前。
予約していた某店に向かう道中で足を止めて、軒先で飾られたメニューに目を通した記憶が今も鮮明に残っている。
「ホテルの1階にこんなお店ができたんや。
立ち飲み屋で日本酒も豊富そうやし、変わったお店やな」
某店で食事を始めると、同じように「気になった」という友人がもう1人いた。
根っからの酒好きの仲間たち。
われらの嗅覚がこうした場合に働いていたかもしれない。
二次会は必然と件のお店「ぽん酒マニア」に決まった。
確かオープン初日、もしくは翌日だったはずだ……。
場所は心斎橋。
中に入ると若い2人の男性が立ち上げた立ち飲み屋だと知る。
注文を迷っていると「アラカルトで4品ぐらい小皿に盛りましょうか?」と店長の中曽拓馬さん(29)が提案する。
アラカルトに紛れていた、その料理こそが「島らっきょと豆苗塩昆布和え」(480円)だった。
毎年の沖縄旅行で必ず購入しているのが「島らっきょ」。
自分で言うのもなんだが、土がついたそれを帰宅後、剥いて食すほど島らっきょには愛情深い(笑)。
その島らっきょを、ミシュラン1つ星のフレンチでシェフをしていた店長は独自にアレンジ。
ほとんどの人が、島らっきょの食べ方はほぼ決まっていると思う。
天ぷらか、鰹節をかけて醤油で食すのがもっとも旨いと勝手に思っていた。
ところが、だ。
このアレンジ料理をひと口食べると絶句……。
「なにこれ⁉ むっちゃ旨いやん! よくこんな料理を考えたわ~」と仲間にも同意を求めている自分がいた。
こうして、ものの5分足らずで「ぽん酒マニア」のファンとなったのである。
代表の阿多一馬さん(29)も、こう言う。
「同業者からすごく好評で、パクらせてくれ!とよく言われるんです(笑)。
うちの一番人気はこの料理です」
1年近くの歳月が経つと、この料理のファンが劇的に増える結果となった。
ちなみに店長と代表は中学時代の同級生。
念願かなって2019年の7月9日に同店を開業した。
この島らっきょの合わせたお酒は、日本酒の「雪男」を焼酎にした「雪男サワー」(480円)のレモン味。
きりっとした飲みごたえで後味もすっきり。
甘味の日本酒「雪男」(380円・グラス)とは違って、甘さは感じない。
雪男はオーソドックスな日本酒。
昔ながらの風味も豊かで甘味がある。
日本酒通が好む味わいだ。
食欲が一気にわき出して、追加で「大人のツナマヨ」(380円)と「焼ラムパク餃子」(580円)を注文。
ツナはトロのコンフィである。
手間をかけてこの値段。
やはり、ひと手間ふた手間をかけるあたり、流石である。
餃子も、ラム肉を使用するあたりが心憎い。
ラム肉は、肉の強さを感じさせるが、それをパクチーが少し打ち消す。
好みに合わせて、酢醬油とピリ辛のゴマダレのいずれかで食す。
和洋中の創作料理で、お客の食欲を永遠に削がないようだ(笑)。
そこで合わせたのは「笑四季」の「もう希望はないと君がいうまえに」(480円)という、滋賀県にある蔵元の純米吟醸酒だ。
「奇跡が生んだ酒」と呼ばれ、野生酵母の混入を招いて低いアルコール度数で生まれたお酒。
糖分が残ったままだったのが功を奏したのか、甘味も豊富だ。
飲むと口当たりも柔らかくて、トロミがほんのりと残る。
少しの甘みが感じられて、それでいて後味がすっきりとした不思議な日本酒だ。
「来年はない日本酒です。偶然生まれたのでこの場限りなんです」
日本酒は常時50種ほどの銘柄が置かれている。
何をアテにしてもきっと満足できるはず。
それほどのクオリティをこのお店は持っている。
ぽん酒マニア
[住所]大阪市中央区南船場2-12-22 IP CITY HOTEL 1F
[TEL]090-9043-4242
[営業時間]平日 11:30~13:30、17:00~2:00
土日祝 17:00~2:00
[定休日]不定休
加藤 慶(かとうけい)
大阪在住のライター兼カメラマン。週刊誌のスクープを狙う合間に関西圏の旨いモンを足で稼いで探す雑食系。
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