なかなか海外に行けない今、知っておきたい店がある。そこに行けば、ある国へ行った気分になれるという。ここは青梅か、パプアニューギニアか……。現地の潜入ルポをお届けします。
画像ギャラリーパプアニューギニアと聞いて思い浮かぶのは……?
パプアニューギニアと聞いて、どんなイメージが浮かぶだろうか。その位置は把握していたけれど、地理的にオセアニアに属することを私は知らなかった。そして国の印象は、失礼ながら皆無だ。
今回、担当編集者が見つけた店『ニウギニ』。それが青梅にあると聞いて私は耳を疑った。パプアニューギニア料理の店が青梅に? 確か熱帯の島国だから、まだ“青海”の方が納得もいく。しかしそれはもちろんお台場ではなく、新宿から特快に揺られて1時間、山々に抱かれた青梅の地にあったのだ。
お寺の中に店が……!!
地図を見ると駅からそう遠くない。しかしやたらと坂を下ったり登ったり。ようやく着いたと思ったら、今度は寺の石段が。
『ニウギニ』は「清宝院」の中にあったのだ。
境内には道順を示す看板が出ているものの、それでもやたらと迷わせる。やっと辿り着くと、それは寺の境内にある普通の民家。ただ庭にはバショウ(ジャパニーズバナナ)の木が、厳冬でもすくっと茂っていた。
店内は意外や意外、爽やかなカフェ風。しかしあちこちに頭蓋骨のような置物がある。
「向こうの部族をモチーフにしています。マッドメン(泥の男)の異名があるんですよ」と教えてくれる常連さん。そして鼻に棒(ヒクイドリの骨)を挿し、頭にトサカのような被り物(ヒクイドリの羽根)をした店主が現れる。
ついに対面のときと身構えるも「アポ・ホリグチといいます。よろしくお願いいたします」と思わぬ低姿勢に拍子抜け。
パプアニューギニア料理のプレート「南国定食」を注文すると、付き添って丁寧すぎるほどに説明してくれる。サツマイモは庭に生えたバナナの皮で包んで蒸すが、これが甘いこと! 爽やかな味わいの焼き&揚げバナナが現地では主食だそうだ。
そして、ご飯には即席麺が。「スープも入れてクタクタに炊いてのせます」。炭水化物オン炭水化物も、食材が豊富ではない現地で人々が考えた生活の知恵だ。
「子どもの頃に世界紀行の番組で見て憧れの地だったんです」。30代でパプアニューギニアの村を訪れたアポさん。以降は毎年訪れる蜜月ぶり。また店では現地の料理だけでなく、蕎麦の実を石臼で挽いて打つ蕎麦やカレーも提供。
今や後者目当ての客が多いが、集う人が増えるほど、パプアニューギニアの情報も発信されるだろう。海から離れた青梅から、熱帯の島国の魅力が広まり始めている。
店主 アポ・ホリグチさんと担当記者のO
マッドメンマスクを被ってアポさんと記念撮影!
撮影・取材/岡野孝次
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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