従来のバーから「喫茶店のような酒場」へ
プロントは営業形態が昼夜で異なるカフェ&バーのチェーンです。昼間はカフェですが、夜はお酒を提供するバー空間に変わります。全国で約200店舗を展開しています。
新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除(9都道府県)された後の6月21日から本格的にスタートさせた「キッサカバ」は、従来の夜のバーを新たな酒場空間に業態を変更したもの。プロントコーポレーションは「喫茶店のような懐かしさやワクワク感のある空間・メニューを特徴としながら、ドリンクの目玉となるオリジナルの洋酒サワーやハイボールに合う揚げ物など、酒場の定番つまみも拡充いたしました。プロントだからこそ提案できる、新たな飲酒文化を体験いただけます」と説明しています。いずれ夜は、全店舗が「キッサカバ」となります。
4月からリブランディング 昼のカフェは「ミレニアル世代」が新たなターゲット
実は同社は、4月から既存ブランドの再構築(リブランディング)を行い、従来の「カフェ&バー」から「昼はカフェ、夜はサカバ。」という二面性を強く押し出しました。「昼と夜の顔を持つ」プロントの象徴として、2001年から使っている「月と太陽のダンス」と名付けたシンボルマークをマイナーチェンジ。より「二面性」を明確にするため、重なっていた月と太陽のシルエットを離しました。ブランドカラーは、これまでベーシックカラーだった緑をやめて、二面性を表現する「白と黒」にしたことも大きな変更点です。
これまでとは、具体的に何がどう違うのでしょうか。担当者は次のように話しています。
「これまでは、待ち合わせなどに『便利だから行く』という利便性で、プロントを選んでいただいているお客様が多かったと思います。アフターコロナは、『プロントのケーキを食べたい』とか『プロントのサワーを飲みたい』とか、プロントをより一層『目的を持って行くお店』に変えたかったのです」。昼は「働く20~30代(ミレニアル世代)」、夜は「全ての働く人」を、「新たなターゲット」としています。
店内の内装もこれを機に変えています。従来の緑とレンガを基調としたちょっとシックな感じから、白とグレーの明るいイメージにしました。
夜はオリジナルのサワーやハイボール、揚げ物など酒場の定番を拡充 昼のカフェはスイーツを強化
何よりも「キッサカバ」のメニューに、若者を中心に現代のトレンドとなっている昭和の要素を取り入れたことが注目すべき点です。「ミレニアル世代は、昭和を知らないけれど、昭和のノスタルジックな雰囲気をすごくかわいいと思っています。ミレニアル世代にささるようにしたかったのと、昭和を知っている世代には懐かしいと思ってもらえるメニューにしたかったのです」
生オレンジや生グレープフルーツなどのフルーツでつくるオリジナルのサワー「ザ・ニューサワー」をお酒のラインナップに新たに加えたほか、フライヤーを初めて導入して「チューリップカラアゲ」などの揚げ物を増やしました。他に、「厚焼きタマゴヤキ」「オカンが作るハムエッグ」「タコサンウインナー」などほぼ新メニューとなっています。どれも、昭和を強く意識させる内容です。
人気のクリームソーダやバナナミルクといった「喫茶メニュー」も。これが、「キッサカバ(喫茶酒場)」たる所以です。
一方、昼のカフェは、若者を意識して季節限定ドリンクやスイーツを強化。米サンフランシスコのカフェ「STONEMILL MATCHA」の抹茶を使ったバスクチーズケーキは、日本初上陸となります。
7月からは約50店舗に拡大、年度内には約100店舗に
現在、「キッサカバ」にリニューアルしているのは、首都圏を中心に15店舗。7月からは約50店舗に一気に増えます。今年度内には、半数となる約100店舗が「キッサカバ」に変わる予定です。
担当者は「若者をもっと取り込みたい」と、今後もメニューなどの見直しを進めていくとしています。コロナ禍で、飲食店業界は苦しい状況が続いています。同社は、感染拡大防止対策をしっかり行いながら、今回の業態変更でプロントを一層楽しめる酒場空間にしたいと力を込めています。
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