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「青空のように」 発表当時、ぼくは絶賛した

1981年のアルバム『A LONG VACATION』(中央上段左)と84年の『EACH TIME』(同右)。『EACH TIME』を最後に、2013年に亡くなるまで、新たなオリジナル・アルバムが作られることはなかった。「青空のように」が収録された『NIAGARA CALENDAR』(右から2枚目)

3曲目はアルバム『ナイアガラ・カレンダー‘78』に収められた「青空のように」だ。このアルバムには1月から12月まで各1曲、計12曲で大滝詠一の音楽的季節感を楽しめる傑作だ。「青空のように」は6月の曲となっている。この曲は1977年の早い時期に完成していた。

1977年晩春、ぼくは当時、大滝詠一が所属していたコロムビア・レコードの彼の担当ディレクター谷川恰(つとむ)に呼ばれた。ようやく大滝詠一がやる気になって、ヒットを狙える曲を作ってくれたので聴いて欲しいという話だった。その曲が「青空のように」だった。それまでの作品に比べて高いポップス性を持つ曲だと思った。そこで大滝詠一と逢うことになった。ぼくは「青空のように」を絶賛した。

“まあ、ヒット曲のパターンで書いたからね。でもどうかね、今のマーケットで”。そう大滝詠一は言った。結果的に「青空のように」はヒットに至らなかった。ただ『A LONG VACATION』の大ヒット後に逢った時に、“「青空のように」をきっかけに、ヒットさせるにはどうすればいいかを考えた”と語っていた。「青空のように」は、彼がヒット曲を生むきっかけとなった名曲だと思う

岩田由記夫

岩田由記夫

1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約350万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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