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バブル期、醒めた眼で時代の先を読む

山下達郎は常に市井の人の眼で、世界や社会を見ている人だ。そして確固たる信念の持ち主でもある。彼の音楽を支えているのは、その音楽職人としての類まれなる技と巧なのはもちろんだが、人間として真っすぐなところも、音楽制作に役立っていると思うのだ

バブル時代の真っ只中、山下達郎に新作のインタビューをした。彼はインタビューにおいて、音楽のこと以外はあまり語らないタイプだ。ただ、新作のプロモーションをするだけでなく、その新作に行きついた深い音楽論をしてくれる。山下達郎と語り合うには、こちらも相当な音楽知識を要求される。

だが、バブル時代のその時のインタビューの終わり近くになって、突然、世間話になった。

“今はいいけど、これからの日本は苦しくなると思うよ。この好景気にしても、俺はそんなに長持ちすると思っていない。日本はアメリカみたいになるんじゃないかな。若い人たちには厳しい時代が来ると思うんだ”

世はバブルの好景気。皆が浮かれていた。それに対して、彼は醒めた眼で先を見ていたのだ。今となって、彼が慧眼だったのが分かる。彼の市井の民としての眼は、その先を見据えていたのだ。まだ貧富の差も今ほど激しくなかった時代だったが、彼はその先の時代を感じていた

山下達郎の名盤の数々。1980年の『RIDE ON TIME』(中央上)は、同名シングルの大ヒットを受けて制作された

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「柄じゃないんだよ。俺はあくまでも職人」...
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岩田由記夫
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