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東京ノワールな中華酒場に潜入せよ!

異国情緒……とは言っても、どこか牧歌的でテーマパーク化した中華街みたいなそれではない。テーマは中華な酒場である。というと、俺の頭の中にはどこかアンダーグラウンドな怪しい映像が浮かぶ。さしずめ雨が降っている。そこに原色の灯が滲む。香港ノワールやウォン・カーウァイのフィルムの見過ぎ?

とまあ、少々前置きが長くなってしまったが、そんな気分でコートの襟を立て、ひっそりと俺の求める東京の中華酒場を巡ることにしたのだ。

シーン1・東京赤坂。路地を入って細い階段を地下へ下る。『carbon brews tokyo』、ネオ香港なタップルームへようこそ。

店内は香港の街中を走る路面電車「トラム」を思わせるグリーンとウッド調の座席を基調に、それでいてミニマムでタイト。ちょっと不思議な空間にスリップしたような感覚。

「carbonbrews」は香港発のクラフトビールブランド。その世界初出店として登場したのがここだ。

定番6種のビールからまず選んだのは「クレイジー リッチ ルプリンズ」。やや濁りがあってトロピカルフルーツのようなフレーバー。パンチはあるけど飲みやすい。というか、どのビールも個性的で直感的に楽しい。

これに香港風メロンパンにあんこレーズンバターを挟んだパオが、おお! 驚きのマッチ。ミックスカルチャーの地・香港らしい、新しいインスピレーションがびんびん伝わってくるのだ。

シーン2・東京中野。怪しく光るピンクのネオン管に吸い寄せられるように階段を上る。『台湾大衆酒場 山口』だ。靴を脱ぎ、誰かの家に招かれたように中へ。

大衆酒場の名前の通り、変に気取ったところがないのがいい。使い込まれた不揃いな椅子やゆったりしたソファの席。天井には台湾提灯、流れている音楽は胡弓の調べか……。不思議な既視感。

迷わずパクチーサワーを頼んだあとに、メニューを見ると、台湾冷奴やピリ辛もやしなどの小皿もあれば、大鶏排(ダージーパイ)や魯肉飯(ルーローハン)など台湾マストな料理もあれこれ。

サクサクジューシーな大鶏排や魯肉飯の甘じょっぱくもとろける豚肉に、クイクイとグラスが進む。いつしかネオンに溶け込むように時が過ぎていく。あれ、ここどこだっけ?

エンドロールにはまだ早い。

撮影/鵜澤昭彦、取材/池田一郎

※店のデータは、2022年5月号発売時点の情報です。

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おとなの週末Web編集部
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