老舗中華惣菜店の名物を駅弁にした名古屋・松浦商店の「おなじみの味焼売弁当」
実は筆者が暮らす名古屋にもシウマイ弁当、いや、“シウマイ”というのは崎陽軒独自の呼称なので、焼売弁当と表記するのが正しい。名古屋駅でも焼売弁当が売られている。それが松浦商店の「おなじみの味 焼売弁当」だ。
松浦商店といえば、昭和29年創業の老舗中華惣菜店『寿屋』を子会社化したという話をこの『おとなの週末web』でも紹介した。
「おなじみの味 焼売弁当」は、寿屋の名物である焼売を松浦商店が創業以来100年にわたって蓄積してきた駅弁作りのノウハウを詰め込んだ究極のコラボ商品なのである。
「寿屋を子会社したのは、名物となる商品を作りたいという思いからでした。その第一号として『おなじみの味 焼売弁当』を作りました」と、松浦商店の専務取締役、松浦浩人さん。
パッケージを開封すると、大ぶりな焼売が目に飛び込んでくる。前出の崎陽軒やまねき食品のそれよりもかなり大きい。聞いてみると、1個あたり30グラム前後もあるという。これが6個も入っているので、焼売だけで計180グラムにもなる。これは食べごたえがありそうだ。
レギュラーとエビ、カニの3種類の焼売
しかも、焼売はレギュラーとエビ、カニの3種類の味を用意。まずはレギュラーからいただくとしよう。うん、これこれっ! 本場中華の味を追い求めたのではなく、ご飯に合う惣菜としての焼売。豚肉の旨みと玉ネギの甘みが絡み合う素朴な味わいに思わず心が和む。
一方、エビ焼売は干しエビの香りと旨みをギュッと凝縮。くぅ~っ! 旨いなぁ!! ご飯にも合うだろうけど、口の中いっぱいに広がったエビの風味をビールで洗い流したくなる。
それは、ズワイガニをふんだんに使ったカニ焼売も同様だ。スゴイと思ったのは、冷めても肉の旨みやエビ、カニの風味が存分に味わえるということ。それだけ食材や製法にこだわっているのだろう。
「鶏肉や豚肉、野菜など食材はすべて国産です。自社工場で挽きたての肉と、しっかりと脱水した野菜と混ぜ合わせて作った餡を自社製の皮で包んでいます。大粒で皮は極薄、というのが弊社の焼売の特徴です。『おなじみの味 焼売弁当』は、焼売を存分に味わってほしいと思い、あえてご飯を少なめにしました」と、松浦さんは言うが、焼売以外のおかずも玉子焼きや蒲鉾、煮物と、駅弁の基本はしっかりと押さえている。
とくに煮物は、タケノコと里芋、ニンジン、椎茸、蕗(ふき)と盛りたくさんで、箸休めにはぴったりだ。
なお「おなじみの味 焼売弁当」は、名駅一丁目の『焼売餃子の寿屋』近鉄パッセ店で販売している。
今回、3種類の駅弁を紹介したが、現在も新型コロナウイルスの感染状況は、まだまだ予断を許さない状態にある。感染拡大の防止に配慮しながら旅を楽しもう。
取材・撮影/永谷正樹