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「1962年、ザ・ビートルズは私の手の中にあった」

もうひとつ、インタビューを始める前に言われたことがある。“君は音楽評論家だが、ザ・ビートルズは好きかね?”という質問だ。ぼくは“ハイ、14歳で出逢って以来の大ファンです”と応じた。すると“それなら今日のインタビューで、ザ・ビートルズのどの曲がどう作られたかとか、196X年何月に私と彼らが何々していたのか?という質問は一切しないで欲しい。今では世界にザ・ビートルズの研究家が山ほど存在して、細かいことは合っているかは別にして彼らの方が詳しい。私はザ・ビートルズと長く付き合ったが、細かいことは忘れてしまったのでね。今日はザ・ビートルズを含めて、一般的な音楽の話にしたいから”と言われた。

1962年、ザ・ビートルズは私の手の中にあった。デビュー後、ポールとジョンが何度も私の会社にやって来た。そして私はアレンジ法、メロディーや和音の作り方などあらゆる音楽知識を与えた。しかし、彼らはひとり歩きし始め、1970年の解散以降は伝説になった。私のものでなく、世界中の音楽ファンのものになったんだ”。ジョージ・マーティンの心の中でもザ・ビートルズは伝説になった。そして、彼は伝説の守護神になったのだ。

ジョージ・マーティンがプロデュースしたビートルズの名盤の数々

岩田由記夫

1950年、東京生まれ。音楽評論家、オーディオライター、プロデューサー。70年代半ばから講談社の雑誌などで活躍。長く、オーディオ・音楽誌を中心に執筆活動を続け、取材した国内外のアーティストは2000人以上。マドンナ、スティング、キース・リチャーズ、リンゴ・スター、ロバート・プラント、大滝詠一、忌野清志郎、桑田佳祐、山下達郎、竹内まりや、細野晴臣……と、音楽史に名を刻む多くのレジェンドたちと会ってきた。FMラジオの構成や選曲も手掛け、パーソナリティーも担当。プロデューサーとして携わったレコードやCDも数多い。著書に『ぼくが出会った素晴らしきミュージシャンたち』など。 電子書籍『ROCK絶対名曲秘話』を刊行中。東京・大岡山のライブハウス「Goodstock Tokyo(グッドストックトーキョー)」で、貴重なアナログ・レコードをLINN(リン)の約400万円のプレーヤーなどハイエンドのオーディオシステムで聴く『レコードの達人』を偶数月に開催中。

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