「食」のクイズ

あられ、せんべい、おかき…原料がもち米でないのは?「食」の三択コラム

もち米を使わないのは?

「あられ」「おかき」「せんべい」の違いとは もち米から作られる「あられ」「おかき」と、うるち米から作られる「せんべい」とは、原材料や作り方のほかにもいくつかの違いがあります。また、現代では大きさの違いとされている「あられ…

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「おとなの週末Web」では、食に関するさまざまな話題をお届けしています。「『食』の三択コラム」では、食に関する様々な疑問に視線を向け、読者の知的好奇心に応えます。今回のテーマは「あられ、せんべい、おかき」です。

文:三井能力開発研究所代表取締役・圓岡太治

お米が原料の伝統のお菓子

「あられ」「せんべい」「おかき」は、いずれもお米を原料とするわが国伝統のお菓子で、まとめて「米菓」と呼ばれます。原料のお米は、「もち米」と「うるち米」(わたしたちが通常食べているお米)とに大別されます。次のうち、うるち米を使って作られるものはどれでしょうか?

(1)あられ
(2)せんべい
(3)おかき

米菓

小麦やでん粉を使うことも

答えは、(2)のせんべいです。
せんべいの原料はうるち米ですが、それ以外に小麦粉やでん粉を使うこともあります。

せんべいの作り方
『草加せんべい』など、現在一般的なせんべいの作り方は、うるち米を細かい粉にした米粉に熱湯を注いで練り、蒸した後に杵(きね)でつきます。その後薄く伸ばして型抜きし、天日干しなどで乾燥させたものを焼いて、醤油だれなどを塗って完成です。

関西には、小麦粉を原料とし、玉子と砂糖を混ぜた生地を鉄板で焼き上げる『瓦せんべい』があります。愛知県などでは、原料のでん粉に海老などの海産物を混ぜて油で揚げたり鉄板で焼いたりする『海老せんべい』が見られます。

あられ・おかきの作り方
あられとおかきは、ともにもち米を原料とし、作り方もほぼ同じです。
お餅を細かく割ったり薄くスライスしたりして、乾燥させ、焼く(焼きもち)か、揚げます(揚げもち)。味付けに塩や砂糖醤油などをまぶして完成です。
あられとおかきの違いは、おもに「大きさ」の違いです。一般にはおかきは5cm以上の大判のものを指し、それより小さ目のものがあられです。また形状について決まりはありませんが、おかきは四角いものが多く、あられは細かく丸みを帯びたものが多く見られます。

各地のせんべい

(参考)
[1] あられ・おせんべいができるまで(全国米菓工業組合)
https://www.arare-osenbei.jp/make/
[2] 草加せんべいの製造工程(草加市役所)
https://www.city.soka.saitama.jp/cont/s1403/010/010/020/senbei.html

「あられ」「おかき」「せんべい」の違いとは

もち米から作られる「あられ」「おかき」と、うるち米から作られる「せんべい」とは、原材料や作り方のほかにもいくつかの違いがあります。また、現代では大きさの違いとされている「あられ」と「おかき」も、歴史をさかのぼれば、本来は別のものでした。

(1)あられ
あられは奈良時代から存在していたと言われています。ただし当時のあられは米粒を炒(い)ったもので、現在とは異なるものでした。宮廷では唐などの海外からの客人に出すおもてなし料理だったそうです。あられは、その形状や、炒(い)るときに音を立てて跳ね上がる様子が、空から降ってくる霰(あられ)に似ていたことから、そう呼ばれるようになったと言われます。

(2)おかき(かきもち)
かきもちは、正月に供えられた鏡餅を鏡開きで食す際に、神聖なお餅に刃物を入れることを忌み嫌い、手で欠いた(割った)ことから、欠いた餅→『かきもち』と呼ばれるようになったと言われます。『おかき』は、かきもちの女房詞(にょうぼうことば。宮中や将軍家に仕える女房達の間で使われた言葉。)が一般に広まったものです。宮中で出される高級なお菓子だったあられに対し、おかきは庶民が食べるお菓子でした。

(3)せんべい
せんべいの起源として有力な説は、平安時代に遣唐使として唐に渡った空海が、宮廷でのもてなし料理の中にあった『煎餅』という食べ物が大変美味しかったため、作り方を習い、日本に伝えたというものです。
煎餅という文字は古い書物の中に度々登場しますが、「せんべい」ではなく「いりひもち」と読まれました。お米ではなく、小麦粉と油を使い、熱を加えて作ったものとされています。江戸後期までは、瓦せんべいのような小麦粉を原料とする甘いせんべいが主流だったようです。
現在のようなお米を原料とするせんべいが登場するのは江戸時代です。お米で作ったせんべいは当初は塩を混ぜ込んで味付けされ、甘いせんべいと区別して「塩せんべい」と呼ばれました。その代表が「草加せんべい」です。後に醤油で味付けされた「醤油せんべい」が登場しました。江戸時代には『煎餅師(せんべいし)』という職業もあったようです。

焼きたても、もちろん美味しい

(参考)
[3] あられ、おかきはどう違うの?(JAグループ福岡)
https://www.ja-gp-fukuoka.jp/archives/akiba/2624/
[4] [人倫訓蒙図彙]7巻.[6](国立国会図書館デジタルコレクション)
https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2592444/20
[5] 煎餅の起源は弘法大使『空海』が日本に伝えた説が有力?
https://okaki-sommelier.com/roots-of-senbei%E2%80%90350/

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